ショクダイオオコンニャク
ショクダイオオコンニャク(燭台大蒟蒻、学名: Amorphophallus titanum)は、サトイモ科・コンニャク属の植物。別名スマトラオオコンニャク。インドネシア、スマトラ島の熱帯雨林に自生する。最短でも2年に一度2日間しか咲かない、世界最大の花として有名になった。 分布解説花序とその付属体、および仏炎苞の複合体は直径1.5mに達するとされ、その縦寸は3.5mまでになった記録もある。肉穂花序の先端は棍棒状の付属体となり、その下の仏炎苞に包まれた部分の上部に雄花、下部に雌花が密生する。 コンニャクなどほかのコンニャク属の植物と同様に、種子から発芽した実生個体は、毎年1枚だけの巨大な葉を展開して同化産物を球茎に蓄積し、数年がかりで巨大な球茎を形成する。生活史の最後の年には光合成を行う葉に替わって球茎から花序だけを伸張させ、それまでに蓄積した同化産物をすべて有性生殖に向けて使い切る。開花はわずか2日ときわめて短く、開花初日には花序先端の付属体から腐臭を発して甲虫を集める。開花後8時間ほどで悪臭の最高潮に達するとされている。これらの甲虫は上に向けて漏斗状に展開した仏炎苞に着地すると這い上がれずに転がり落ち、中心の花序の部分に集められる。ここに他の花に誘引されて花粉をつけた個体がいると、花序最下部の雌花群の柱頭に花粉がなすりつけられ、受粉が成立する。翌日になると雌花の受粉機能は停止し(雌性先熟)、替わって雄花群の葯から花粉があふれ出して甲虫の体に降りかかり、次いで付属体と仏炎苞が枯死崩壊して虫の脱出が起きる。受粉が成立した雌花は成熟するとサトイモ科の植物に広く見られる朱色の液果となり、鳥に食べられて種子散布がおきると考えられている。 名称花の形が燭台に似ることからショクダイオオコンニャクの名がある。別名スマトラオオコンニャク。英名Titan arum。学名のアモルフォファルス・ティタヌムは、その強烈な腐臭から死体花 (corpse flower) [2]、お化けのように見えるのでお化け蒟蒻とも呼ばれている。 花の大きさについて有名なラフレシア[注釈 1]の最大種であるラフレシア・アルノルディイ(R. arnoldii)の花は最大で直径90cmと、送粉者を誘引して受粉系となる単位器官としてはこれより小型である。しかし R. arnoldii が単体の花であるのに対し、ショクダイオオコンニャクの巨大な「花」は花序であり、そこに密生する個々の単体の花はごく小さい。そのため、単体の花としては R. arnoldii が世界最大である。両者とも腐臭を放って腐肉や獣糞で繁殖する昆虫を集めて花粉を媒介させるが、ラフレシアがクロバエ科のハエに依存しているのに対し、ショクダイオオコンニャクは糞虫やシデムシ類といった甲虫によって花粉が媒介される点が異なる。具体的には、シデムシ科の Diamesus osculans 、ハネカクシ科オオハネカクシ属のCreophilus flavipennis が、送粉に大きく寄与している [4] [5] [6]。 脚注注釈
出典
関連項目外部リンク
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