シャドウ オブ メモリーズ
『シャドウ・オブ・メモリーズ』(Shadow of Memories)は、コナミより2001年2月22日にPlayStation 2用ソフトとして発売されたアドベンチャーゲームである。 概略タイムトラベルを題材としたゲームで、派手な戦闘や演出も無く主人公がただひたすら死を回避するために奮闘するというやや異色のゲームであり、発売当時はPS2の普及率がまだ低かったという事情も相まって日本国内での売り上げは振るわず、発売一週目では約10,000本を売り上げるに止まった。 2001年11月22日にベスト版が発売。2009年10月1日にPlayStation Portableへの移植版が発売。 日本国外では北米版と五ヶ国語(英、仏、独、伊、西)対応の欧州版が発売された。日本国外では国内以上の売り上げを記録しXboxとWindows用に移植もされている。なお、北米版はタイトルが『Shadow of Destiny』に変更されている。 PS2版には映像特典として、サイレントヒル2の予告映像が収録されている。 ストーリー2001年4月8日、レーベンスバウムの街を訪れていたアイクは、喫茶店を出て街路を歩いていた。その時、突然の衝撃に襲われ、倒れ伏すアイク。その背中には深々とした刺し傷が刻まれており、午後2時30分を告げる時計台の鐘の音を聞きながら、アイクは意識を失う。目を覚ましたアイクを待っていた物は、この世とは思えぬ奇妙な空間、そしてどこからか語りかけてくる声であった。その声が告げたのは、自分が死んだという事実、そしてアイクが「今日絶対に死ぬ運命」にあるという事だった。運命を変えるのに協力するという声の誘いに乗るアイクは、その声の主が持つという「時間を統べる力」の一部である転送機を受け取る。空間に開け放たれた門から抜け出ると、居場所は先ほどの喫茶店。店員に揺さぶられ覚醒し、店を出て時計を見ると午後2時。先ほどの体験を思い返すが、それが夢でない事はズボンのポケットに入っていた転送機が物語っていた。こうしてアイクは時空を移動し自身に降りかかる死の運命に立ち向かうことになる。 システムこのゲームは、プロローグと8つのチャプターで構成されており、主人公アイクがチャプターごとの様々な死の運命から逃れるべく、街を歩き回り特定の条件下でのみ使える転送機を駆使して過去に戻り、その時その時の「死の要因」を探りだし、それを排除していくのを目的としている。戻れる時間もごく近い過去から、1980年頃、1900年頃、1580年頃と多様。アイクを除く1900年の風景と人物はモノクロームで、ヨーロッパを思い起こさせる幻想的なグラフィックで展開される。1580年はセピアで描写されている。だが、1980年代は色は少し、淡いが現在と同じカラー。 ゲーム内の時間はリアルタイムで進み、またイベントを見る事によっても一定時間経過する。過去で時間を過ごしたとしても「現在」で同じ時間が平行して経過しており、転送機を使ってもその時刻にしか戻ることはできない。死の要因を排除できないままそのチャプターで定められた「死の時間」が訪れると、たとえ始めに死亡した現場に居なくとも死んでしまい、そのチャプターの開始時刻に戻る。ただし、過去を訪れたままで死の時間を迎えるとアイクの存在が消滅し、ゲームオーバーとなる。 街は広く様々な人物が生活しており、彼らとの会話内容も時刻や展開によって異なり、本筋とは関係の無いミニイベントや死の回避方法が複数用意されている場面もあって、自由度が高い。先のチャプターで行った事は多くの分岐を生み出し、後のチャプターにまで影響を及ぼすので全てのパターンを見るには繰り返しプレイする必要がある。また、プレイヤーの行動によって展開が変化し、最終的にエンディングまで複数に枝分かれするマルチエンディング方式を取っている。 エンディングは、A、B、C、D、E、とあり全てをクリアするとEXTRAシナリオがプレイできる。 ゲーム中のムービー及び会話はフルボイス。メモリーカードにはプレイの進行途中に保存したプレイデータとは別にシステムデータが保存され、このデータがある限りストーリーの最初からプレイを始めても、どのイベントやエンディングを見たのかは達成度として蓄積されていく。 そして、100%達成すると少々、変化があり、エンディングすべてを見ると流れる音楽が変わり、そしてムービーを全てみると静止画像もアイク→マルガレーテとダナにかわる。 ちなみに、EXTRAは主人公が自分の身に起こる結末をしっている設定から始まるシステムになっている。 タイムトラベル基本的にプレイヤーはアイテムの取得・使用や人との接触によって過去を変える事で死を回避する事になる。過去を変えれば当然現在にも影響が出る事になり、それは現在から時間が離れた過去であるほど顕著。 過去から現代への「時間の経過」という要素もゲーム内で生かされている。例えばロープを過去の屋外に放置し現代に戻ると古くなって使えなくなってしまったり、子猫を過去の人物に預けると現代で大繁殖してしまったりする。 過去の街には現代に存在する者と一目で先祖だとわかる瓜二つな人物が生活しており、その趣味嗜好や人柄に共通点が窺(うかが)える。過去の人物にした事が子孫の代にまで影響を及ぼす事もある。 過去の世界ではその時点でのアイク自身に遭遇する事もある。その時アイク同士が接触してしまうとタイムパラドックスが巻き起こり、アイクの存在が消滅し、ゲームオーバーとなる。 登場人物主要人物
現代の人物
1980年頃の人物
1902年頃の人物特に、この時代は物語に沿った時代ではなく箸休め的な話になっている。
1580年頃の人物記載している年齢をはじめとした記述内容は全てアイクが初めてこの年代を訪れた時点のものである。
備考舞台である「レーベンスバウム(Lebensbäume )」はドイツ語で、日本語における「生命の樹」といった意味。同名の都市がドイツに存在するわけではない。本作のプロデューサー、河野純子は公式ガイドブック[2]のインタビューで製作に当たって実際にドイツに取材旅行に行ったと語った。背景は実在のドイツの街や建物を参考に描かれている。[1] また同インタビューで、本作はゲーテの戯曲『ファウスト』に強い影響を受けて製作したと答えている。キャラクターのマルガレーテ、ワーグナー、ホムンクルス等はファウストの登場人物の名前であり、開発中の仮題が『ワルプルギスの昼と夜』だったことからもそれは窺い知ることができる。他にも製作にあたり『バック・トゥ・ザ・フューチャー』等のタイムトラベルを扱った映画を参考にしたとしている。「自分で前向きに行動しないと何も変わらないんだ、というのが根底にあるゲームです。」と河野純子は述べている。[1] PS2版のディスクには『サイレントヒル2』の予告映像が収録されており、これによってパッケージに暴力的な映像に対する注意を促すマークが付けられた。 開発元の一つであるコナミコンピュータエンタテインメント東京は2005年に閉鎖され、PS2版発売当時の公式サイトは海外版を含め全て閉鎖している。ただし、コナミTVchのコナミニュース、2001年1月23日掲載分は、本作の欧州記者発表イベントの様子を配信したものであり、発売当時の様子を垣間見ることができる。 脚注
外部リンク |