ザイフリボク属

ザイフリボク属
Amelanchier ovalis
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: バラ目 Rosales
: バラ科 Rosaceae
亜科 : ナシ亜科 Maloideae
: ザイフリボク属 Amelanchier
  • 本文参照

ザイフリボク属(ザイフリボクぞく、学名:Amelanchier)はバラ科の属の一つ。約20種が分類される。

分布

北アメリカアジアヨーロッパなど、北半球の温帯に分布する。アメリカではハワイを除く全州に自生し、カナダでも一般的に見られる。

アジアには2種、ヨーロッパには1種があるのみである。

日本においてはザイフリボクの他、アメリカ産のジューンベリー果樹として親しまれている。

特徴

落葉で樹高は0.2-20mほど。5弁の花を咲かせ、果実は直径5-15mm、赤~黒紫に熟し、細かい種子を含む。果実や葉は野生動物昆虫にも好まれる。

実生、挿し木接木で容易に増やすことが出来る。特にサンザシ属ナナカマド属との接木の相性が良い。

その多様性ゆえ、分類が疑わしい種類がある。またナシ亜科ではなく、シモツケ亜科に分類すべきという意見があり、 いくつかの種がアポミクシスであることも判別を困難にしている[1]

名称

学名の Amelanchier(アメランキエ)はヨーロッパ産の Amelanchier ovalis(ヨーロッパザイフリボク)が、イタリアと接するフランスサヴォア地方のオック語amalenquièramelanchièr と呼ばれていたことに由来すると言われている[2]

北アメリカではサービスベリージューンベリーサスカトゥーンシャッドブッシュなど多くの呼称が種類、地域によって多様性を持って使用されている。サービスベリーは果実の形状が似たナナカマド (Sorbus) から、ジューンベリーは6月 (June) に果実が熟す特徴から[2]。サスカトゥーンは先住民族の言葉、misâskwatôminaが由来とされ、カナダのサスカトゥーン市の名称はここから取られた。また、シャッドブッシュは「アロサ (shad) が泳ぎ出す頃に開花する」という言い伝えより。

日本では、采配に似ている花から采振り木(ザイフリボク)と呼ばれるようになり、現在に至る[2]

ジューンベリーの花

利用

いくつかの種の果実はブルーベリーにも似た美味であり、生食に適する。北アメリカではパイジャムの材料としてもポピュラーで、商業栽培されている種もある。

先住民族の間ではペミカンの香りづけ材料として利用されてきた。

一部の種は庭木や街路樹用としても大変人気があり、花、果実、紅葉を楽しむことが出来る。

材木は茶色で硬く重い。特に芯材になるほど重く、色も赤みが増す。工具や釣竿などに加工される。

17世紀にはAmelanchier lamarckiiがカナダからヨーロッパに持ち込まれ、現在では広い面積で栽培されている。

主な種

サスカトゥーンベリー

他にもいくつかの原種、交配品種が存在する。

脚注

  1. ^ University of Maine: Amelanchier Systematics and Evolution
  2. ^ a b c 辻井達一『続・日本の樹木』中央公論新社〈中公新書〉、2006年2月25日、78 - 80頁。ISBN 4-12-101834-6 
  3. ^ University of Maine: Amelanchier alnifolia var. alnifolia
  4. ^ University of Maine: Amelanchier amabilis
  5. ^ University of Maine: Amelanchier arborea
  6. ^ University of Maine: Amelanchier bartramiana
  7. ^ University of Maine: Amelanchier humilis
  8. ^ University of Maine: Amelanchier interior
  9. ^ University of Maine: Amelanchier laevis
  10. ^ Missouri Botanical Garden, St. Louis MO
  11. ^ University of Maine: Amelanchier utahensis

外部リンク