サム・スペード
サム・スペード(Sam Spade)は、ダシール・ハメットの長編小説『マルタの鷹』と3つの短編に登場する架空の私立探偵。レイモンド・チャンドラーのフィリップ・マーロウと並んでハードボイルド派探偵の代表的キャラクターに挙げられる。 描写ダシール・ハメットは小説『マルタの鷹』で初めてサム・スペードを登場させた。同作中では身長は6フィート(183センチ)以上あり、体重185ポンド(84キロ)、胸の厚さと肩幅が同じくらいで逆円錐形の体格、灰色の目と濃い眉、尖った顎が3つのVの字を描き、金髪の悪魔を思わせる容姿、と描写されている。特に名前の発表と明確な容貌の表現は小説1ページ目の書き出しになっており、これはハメットのそれまでの作品で主人公を務めたコンチネンタル・オプが本名や顔立ちが敢えて伏せられていたキャラクターであったこととは対照的である。 サンフランシスコでマイルズ・アーチャーという相棒と「スペード・アンド・アーチャー」という探偵事務所を構えていたが、『マルタの鷹』でアーチャーは殺害され、「サム・スペード」と看板を書き換えさせている。なお、アーチャーのことは"son of a ―"だったと当時の出版倫理では活字化不可能だった卑語で評している。 アーチャーの妻とは不義の関係にあり、そのため警察にもアーチャーの殺害容疑をかけられた。秘書のエフィ・ペリンにもしばしば焼きもちをやかれているという描写がある。 ハメットはスペードについて次のように述べている[1]。
作者ハメットの本名「サミュエル」の愛称となる「サム」が与えられている点も上記の「夢」の表現の一部であろう。 登場作品()中は英語版原題
演じた俳優スペード役としては映画『マルタの鷹』(1941年版)で演じたハンフリー・ボガートが最も有名であり、彼は新たなハードボイルド探偵という分野を確立するためのイメージ作りに大きく貢献した[2]。アメリカン・フィルム・インスティチュート(AFI)が企画した「AFIアメリカ映画100年シリーズ」の『アメリカ映画の名セリフベスト100』では、彼の「The stuff that dreams are made of」(「夢が詰まってるのさ」)というエンディングでの有名な台詞は14位にランク入りしている[3]。 2024年のドラマ『Monsieur Spade』にてクライグ・オーウェンが演じた。1963年を舞台とし、南フランスで引退生活を送っていたスペードが旧敵帰還の噂により再び復活する。 脚注
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