グランドソナタ『グランドソナタ 四つの時代』(Grande sonate Les quatre Âges)作品33は、シャルル=ヴァランタン・アルカンによって1847年に作曲された、全4楽章からなるピアノソナタである。ただし、ソナタといっても、従来のソナタ形式からはかなり逸脱している。 父のアルカン・モランジュに献呈された。しかし、出版後一度も演奏された記録はなく、世界初演は1973年8月10日にロナルド・スミスがヨーク大学で行ったものとされる。 概要このソナタは、1~4楽章を20代から50代の各時期を表現している。2楽章から4楽章にかけては、標題もつけられている。 録音はマルク=アンドレ・アムラン、中村攝、ロナルド・スミス、アラン・ワイス、ピエール・レアクらによる全楽章以外には、レイモンド・レーヴェンタールの第2楽章やフランチェスコ・リベッタの第1楽章(CDではないが、DVDとして音源がある)がある。 曲の構成
ロ短調。ソナタ形式にはなっておらず、三部形式のスケルツォから始まる。冒頭は2拍子のように聞こえるが、左手のアクセントは1拍目につけられていて、実際は4分の3拍子であり、その後ロ長調へと移調され、中間部が演奏された後、また冒頭のメロディーが現れてくる。その後は、転調が繰り返され、最後はロ長調で完結する。
嬰ニ短調、拡大されたソナタ形式。第1楽章の最後の音形が受け継がれて、第1主題を形成する。第2主題は、厚みのある和音の連打によるメロディーから始まって形成されている。調性は、嬰ニ短調から始まり嬰ヘ長調で終わる。そして、この楽章は8声のフガート、跳躍などといった相当高度な技巧がちりばめられている上、複雑な転調を示すトリプルシャープ(ダブルシャープの横にさらにシャープが付く)など譜読みが困難な部分が多く、4楽章の中でも特に演奏は困難である。
ト長調。第2楽章とは打って変わって落ち着いた曲想となる。平安な生活が描かれた後、中間部の「子供たち」、「10時」(アルカンがいつも帰宅する時間だった)→「祈り」へと続き、作曲者の信仰心が描かれる。
嬰ト短調。この楽章では、タイトルに加えてアイスキュロスの『縛られたプロメテウス』からの詩行の引用までが付されている。第2楽章のファウスト主題が引用された後、曲は暗転して終結する。 外部リンク
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