ガンピ
ガンピ(雁皮[4]、学名: Diplomorpha sikokiana)はジンチョウゲ科ガンピ属の落葉低木である。奈良時代から製紙原料として用いられている。別名はカミノキ[1]。 名称和名「ガンピ」の名の由来は、カニヒ(伽尼斐)という植物の古名から転化したという説と、カミヒ(紙斐)が訛ったともいわれている。 分布・生育地生育する東限は静岡の伊豆、北限は石川の加賀市付近までである。四国、九州(黒髪山)、静岡、兵庫などに多く分布する[4]。暖地を好み、山中の日当たりのよいところに生える[4]。 特徴落葉広葉樹の低木で、高さ1.5 - 2メートル (m) になる[4]。枝はなめらかで濃褐色をしており、若い枝には毛がある[4]。葉は互生し、長さ3 - 5センチメートル (cm) の卵型で、全体に絹毛がある[4]。特に葉の裏面に絹毛が多く生える[4]。 花期は初夏(5 - 6月)[4]。枝の先に黄色の小花が頭状に数個集まってつく[4]。花には花弁がなく、萼が長さ7 - 8ミリメートル (mm) の筒状になり、先端が4裂して花冠状になる[4]。雄蕊は8個つく[4]。 果期は10 - 11月[4]。果実は痩果で、長さ5 - 6 mmの紡錘形をしており、萼筒に包まれて褐色に熟す[4]。 人工栽培野生品は乱穫しすぎで収穫量は減少傾向にあるため、困難であるものの人工栽培が試みられている。実生、根分け、挿し木などにより苗を育てるが、1年目の植え替えの際によほど注意しないと枯死する[5]。苗を植え付けて3年目に第一回の収穫を行うが、4月 - 11月が適当。生皮を剥ぎ、乾燥して出荷する。製紙の過程は三椏和紙などと同様。 利用樹皮の繊維がきめ細かく、高級和紙の原料となる[4]。繊維は楮の3分の1程度と短く、その質は優美で光沢があり、平滑にして半透明でしかも粘性があり緊縮した紙質となる。 富山県(主に県東部の地域)では模造紙のことを雁皮という。新方言の一つ。 歴史遣唐使と共に唐に渡った最澄が、わざわざ土産として筑紫の斐紙(雁皮紙)を200張り持参している。当時紙の先進国であった中国に、土産として持参できるほどに高い評価を得ていたことになる。平安期の公家の女流詩人たちに、かな文字を書くのにもっともふさわしい紙として愛用され、中世から近世にかけて、鳥の子紙の名で紙の王としてその名を知られている。 脚注
参考文献
関連項目 |