カランシアカランシア(Caranthir、第一紀? - 太陽の時代505年)は、J・R・R・トールキンの中つ国を舞台とした小説、『シルマリルの物語』の登場人物。もっとも偉大なエルフ、フェアノールの七人の息子の四男。母はネアダネル。ノルドールの上級王フィンウェの孫。黒髪のカランシア(Caranthir the Dark)と呼ばれ、兄弟のうちもっとも短気で苛酷な性格であったとされる。父、兄弟とともに「フェアノールの誓言」をなした。ベレリアンドにおいては、ダゴール・ブラゴルラハまでサルゲリオンを治めた。 カランシアの父名はクウェンヤで「暗きフィンウェ」を意味する、モリフィンウェ(Morifinwë)であった。母名は「赤顔」を意味するカルニスティア(Carnistir)であった。
短気なカランシアフィンゴンによるマイズロスの救出と、マイズロスによる王権の放棄によって、フェアノールの息子たちの一党と、フィンゴルフィン、フィンロドの一党との一応の和解が成立した。シンゴル王は血縁のあるフィンロドの兄弟だけを王国内に受け入れ、そのためアングロドが兄フィンロドの使者として送られた。シンゴル王はノルドールがベレリアンドの無人の地に住むことを許したが、同時に自身が全ベレリアンドの王であることを宣し、招かれざるものがドリアスへ入ることを禁じた。フェアノールの息子たちはこれを聞いて腹を立てたが、マイズロスは笑ってこれを受け入れた。しかしカランシアはさらに怒り、テレリの血を引くフィナルフィンの息子たちはノルドールの使者として不充分であるとなじり、マイズロスにたしなめられた。 サルゲリオンのカランシアカランシアはサルゲリオン、ゲリオン川とエレド・ルインのあいだ、オッシリアンドの北の地をその領土と定め、これを支配した。そのためこの地は「ドル・カランシア」(カランシアの国)とも呼ばれた。ここはベレリアンドを旅するドワーフたちの通り道があり、カランシアを大いに富ませた。しかしカランシアはドワーフの容姿を見下し、かれの一党もそれにならったので、お互いに友情を抱かなかった。 人間との出会いフィンロドが出合った始祖ベオルの族に続き、ハラディンの族も東の地よりベレリアンドに入った。かれらは緑のエルフに追い出され、オッシリアンドを北上し、サルゲリオンに住んだ。しかしカランシアはかれらに関心を持たなかった。モルゴスは虚言をもって人間とエルフの絆を絶とうとしていたが果たせず、怒りにかられて先ずサルゲリオンのハラディンの族を襲った。かれらはオークと七日間戦い、防御柵がついに破られたとき、カランシアの軍勢がかれらを救った。カランシアは族長ハレスに敬意を表し、ここより北のかれらが自由にできる土地と、エルダールによる保護とを申し出た。しかしハレスの族の誇りは高く、かれらは西へと去った。 第二の同族殺しルーシエンがこの世を去り、その息子ディオルがシルマリルを受け継ぐと、フェアノールの息子たちはこれを引き渡すよう要求した。ディオルは返答せず、兄弟たちは誓言にしたがってドリアスを襲い、滅ぼした。ディオルはケレゴルム、カランシア、クルフィンを倒すが、自らも倒れた。 異伝かれの名は『中つ国の歴史』の『The Book of Lost Tales』ではカランソール(Cranthor)。『クウェンタ・シルマリッリオン』の初期の版では、クランシア(Cranthir)と記されている。 フェアノールの系図
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