オルヴァル
オルヴァル (Orval) は、ベルギーのオルヴァル修道院で醸造されるトラピストビールの銘柄。 概要オルヴァルはマチルドの泉の伝説(後述)によって知られるトラピスト会の修道院で醸造されるビールである。 現在の修道院のすぐ近くに廃墟となった旧修道院跡があり、ここにマチルドの泉と呼ばれる小さな泉がある。 修道院の生活水およびビールの醸造にはこの泉の水が用いられている。 ビールは2種類を醸造しているが、1つは院内での飲用のため流通銘柄が1つのみと少ない。 その味の評価は高く、ベルギービールの紹介で知られるマイケル・ジャクソンはオルヴァルを最高ランクに位置づけている[2]。 醸造手順は複雑でこだわりのある醸造を行っている。 まず、ロースト具合の違う麦芽(ペールモルトに少量のカラメルモルト)で作った麦汁に、ホップ、キャンディーシュガーを加え一時発酵を行う。 二次発酵の際には乾燥したアロマホップ(バイエルン地方ハラタウ種とのユーゴスラビアのゴールディング種)を袋に入れ一緒に漬け込む。 このドライホッピングの手法はイギリス発祥のためベルギービールでこれを用いるのは極めて希である。 瓶詰めの際にはキャンディーシュガーとブレンド酵母を加えて瓶内三次発酵を行う。ドライホッピングなどの技術は、1931年、醸造開始時に招聘された最初の醸造士であるドイツ人と、次の醸造士であるベルギー人により取り入れられた。[3] 他のトラピスト修道院同様に、その収益は修道院の維持と慈善事業のみに使用されている。 歴史
マチルドの泉の伝説イタリアはトスカーナ地方のマチルド・トスカニー伯爵夫人(Mathilde de Toscane)がこの地を訪れ、谷にあった泉のほとりに腰掛けていたところ、 亡き夫の形見である結婚指輪を泉へ落としてしまった。 夫人は聖母マリアに祈りを捧げ「指輪がかえってきたならば、この地に修道院を建てます」と祈願した。 すると一匹の鱒(ます)が指輪をくわえ水面へと姿を現したのである。 マチルド夫人は喜び驚いて「本当にここは黄金の谷!(Val d'Or)だわ!」と叫んだ。 これにちなんで、この一帯をオルヴァル(Orval)と呼ぶようになった。 ビール伝説にちなみ、指輪をくわえる鱒の意匠が施されている。 前述の通り流通は1種類のみである。
脚注
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