エトレチナート
エトレチナート(英語: Etretinate)とは、ビタミンA誘導体であり乾癬や毛孔性苔癬に有効とされる薬である。ロシュが開発し、FDAは1986年に承認した。欧米ではテジソン (Tegison) の名で発売されていたが、催奇性という強い副作用のために1996年にカナダ、1998年に米国で使用禁止となっている。日本では中外製薬からチガソン (Tigason) の名で発売されており[1]、先進国では唯一発売が続けられている。日本国内でも2例の先天異常症例が報告されており、製造元である中外製薬が定期的に注意喚起を行っている[2]。 欧米では、エトレチナートに代わって遊離酸のアシトレチン(商品名:Neotigason)が用いられている。アシトレチンは半減期が約2日と短いものの、体内でエトレチナートに変化するため、女性の場合は服用を中止してから3年間は妊娠を避けることとなっている。 効能・効果諸治療が無効かつ重症な下記疾患
服用時の注意点ビタミンAの薬との併用は不可[1]。ビタミンAの過剰摂取となり肝機能などに悪影響を与える危険性がある。また、骨棘の形成や靱帯の石灰化等の過骨症変化及び長管骨の骨膜肥厚等の造骨性変化を生じる事がある[3][4]。長期の服用の場合定期的に骨X線[4]、肝機能、中性脂肪の検査を行う必要がある。 日本では、レチノイド(ビタミンA)の脂溶性が強く、体内に長期間蓄積されることから、服用中はもちろん、服用後の妊娠につながる性行為(女性は最低2年間・男性は最低6ヶ月間の避妊が必要)と、男女とも最低2年間は献血をしてはならない事となっている[1][2]。処方に当たっては皮膚科医師からの説明の上、同意書を交わす[1][2]。閉経前の女性に対しては、妊娠検査を行い、妊娠していないことを確認される事もある。そして薬剤師の問診・確認を済ませて初めて処方されることとなっている。 禁忌妊婦、肝障害または腎障害のある患者、ビタミンA製剤を服用中の患者、過敏症のある患者には禁忌である。 副作用滅多に発生することはないが以下の症状が出た場合医療機関に受診を薦める。
なお、副作用の発生率は71.0%であり[1]、
の発生頻度が高い他、重大な副作用として上記の催奇性の他に、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、多形紅斑、血管炎が記載されている。 出典
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