エイシンバーリン(Eishin Berlin、1992年3月11日 - 2017年4月19日)[1]は、日本の競走馬、繁殖牝馬。1990年代半ばに短距離戦線で活躍し重賞競走4勝を挙げ、特に1997年のシルクロードステークスにおいては日本競馬史上初めて芝1200メートルで1分7秒の壁を破る1分6秒9の日本レコードタイムで勝利するなど、スピードを生かした快足の逃げ馬として知られた[5]。疾風の申し子と呼ばれた[6]。
戦績
アメリカ生まれの外国産馬。フロリダのセリ市で平井豊光が落札し、3歳春に来日。平井が所有する栄進牧場で育成が行われた。
1994年10月に阪神競馬場で行われた新馬戦・芝1400メートルでデビュー。ここを2着に1.7秒差、当時の3歳コースレコードとなる1分21秒4で圧勝し、素質の高さを裏付ける。しかし続く重賞三競走は、ヤマニンパラダイス、スターライトマリー、プライムステージといった強豪に後れを取り、2、3、2着と勝ちきれなかった。
しかし4歳になって初戦のクイーンカップで前述のスターライトマリー、プライムステージらを抑え、重賞を制覇。牡馬相手となったアーリントンカップも連勝し、この勢いのまま「裏街道」[注 1]の主役になるかと目されたが、アーリントンカップのレース後に骨膜炎(ソエ)を発症する。これは若駒にしばしば見られる成長病のようなものであり、多くの場合、症状は一時的なものであるが、しかしエイシンバーリンの場合は症状が慢性化。調教さえ満足に行うことができなくなり、結局ここから1年7ヶ月に渡っての休養を余儀なくされた。
5歳秋になってようやく復帰するも、復帰後3戦は振るわなかった。しかし4戦目のキャピタルステークスを逃げ切って復活勝利を挙げると、1戦挟んでの京都牝馬特別では、阪神3歳牝馬ステークス以来およそ2年1ヶ月振りの対戦となったヤマニンパラダイスに雪辱を果たし、重賞3勝目を挙げた。続く中山記念は直線で失速し11着に敗れるが、2000mの中京記念では逃げて見せ場を作り5着に入った。その後適距離に戻ったシルクロードステークスでフラワーパーク等、当時の一線級のスプリンターを相手に驚異的なハイペースで逃げながら、最後の3ハロンも33秒4という出走馬中2番目のタイムでまとめ、日本馬として史上初めて芝1200mで1分7秒を切る、1分6秒9という日本レコードタイムで圧勝した。
結局これが最後の勝利となったが、続くGI高松宮杯でも2着に逃げ粘り、その後も12戦して重賞で2着4回、GIで3着1回など短距離戦線には欠かせない馬として息の長い活躍を続けた。特に平たんコースの中京競馬場と相性が良く距離適性が無かった上記中京記念も含めてすべて掲示板に載っている。6歳冬のスプリンターズステークス10着を最後に引退。北海道の栄進牧場で繁殖入りとなった。
競走成績
以下の内容は、netkeiba.com[7]およびJBISサーチ[8]に基づく。
年月日 |
競馬場 |
競走名 |
格 |
距離(馬場) |
頭 数 |
枠 番 |
馬 番 |
オッズ(人気) |
着順 |
タイム (上り3F) |
着差 |
騎手 |
斤量 (kg) |
勝ち馬/(2着馬)
|
1994.10.16
|
阪神
|
3歳新馬
|
|
芝1400m(良)
|
8
|
8
|
8
|
01.4(1人)
|
1着
|
R1:21.6 (36.2)
|
-1.7
|
南井克巳
|
53
|
(マイアミスピリッツ)
|
0000.11.12
|
東京
|
京成杯3歳S
|
GII
|
芝1400m(良)
|
11
|
6
|
6
|
01.4(1人)
|
2着
|
1:22.4 (34.9)
|
-0.4
|
南井克巳
|
53
|
ゴーゴーナカヤマ
|
0000.12.04
|
阪神
|
阪神3歳牝馬S
|
GI
|
芝1600m(良)
|
10
|
2
|
2
|
06.4(2人)
|
3着
|
1:34.9 (36.3)
|
-0.2
|
南井克巳
|
53
|
ヤマニンパラダイス
|
0000.12.24
|
中山
|
フェアリーS
|
GIII
|
芝1200m(良)
|
13
|
5
|
7
|
01.4(1人)
|
2着
|
1:09.3 (35.6)
|
-0.1
|
南井克巳
|
53
|
プライムステージ
|
1995.01.29
|
東京
|
クイーンC
|
GIII
|
芝1600m(良)
|
9
|
1
|
1
|
05.0(3人)
|
1着
|
1:35.5 (35.4)
|
-0.1
|
南井克巳
|
54
|
(プライムステージ)
|
0000.02.26
|
京都
|
アーリントンC
|
GIII
|
芝1600m(良)
|
16
|
7
|
13
|
06,8(4人)
|
1着
|
1:34.3 (35.3)
|
-0.6
|
南井克巳
|
55
|
(ダイタクテイオー)
|
1996.09.21
|
中山
|
オータムスプリントS
|
OP
|
芝1200m(良)
|
11
|
1
|
1
|
07.5(2人)
|
7着
|
1:10.0 (36.2)
|
-0.7
|
柴田善臣
|
56
|
トーヨーロータス
|
0000.10.13
|
東京
|
府中牝馬S
|
GIII
|
芝1800m(良)
|
14
|
5
|
7
|
11.5(7人)
|
5着
|
1:46.5 (36.0)
|
-0.5
|
柴田善臣
|
55
|
サクラキャンドル
|
0000.11.02
|
東京
|
根岸S
|
GIII
|
ダ1200m(不)
|
16
|
2
|
3
|
12.3(6人)
|
12着
|
1:12.3 (37.3)
|
-1.7
|
柴田善臣
|
55
|
ストーンステッパー
|
0000.11.23
|
東京
|
キャピタルS
|
OP
|
芝1400m(良)
|
14
|
8
|
13
|
08.5(3人)
|
1着
|
1:21.7 (35.2)
|
-0.1
|
角田晃一
|
56
|
(ベストタイアップ)
|
0000.12.15
|
阪神
|
阪神牝馬特別
|
GII
|
芝1600m(良)
|
15
|
7
|
12
|
05.7(3人)
|
7着
|
1:36.0 (36.2)
|
-0.9
|
南井克巳
|
55
|
ヒシナタリー
|
1997.01.26
|
京都
|
京都牝馬特別
|
GIII
|
芝1600m(良)
|
10
|
4
|
4
|
09.2(5人)
|
1着
|
1:35.4 (35.8)
|
-0.0
|
南井克巳
|
56
|
(ヤマニンパラダイス)
|
0000.02.23
|
中山
|
中山牝馬S
|
GIII
|
芝1800m(良)
|
15
|
2
|
2
|
05.7(3人)
|
11着
|
1:50.4 (35.7)
|
-1.1
|
南井克巳
|
56.5
|
ショウリノメガミ
|
0000.03.16
|
中京
|
中京記念
|
GIII
|
芝2000m(稍)
|
16
|
4
|
7
|
11.8(7人)
|
5着
|
2:03.1 (37.7)
|
-0.9
|
幸英明
|
55
|
アロハドリーム
|
0000.04.20
|
京都
|
シルクロードS
|
GIII
|
芝1200m(良)
|
16
|
2
|
4
|
35.9(8人)
|
1着
|
R1:06.9 (33.4)
|
-0.6
|
南井克巳
|
56
|
(ビコーペガサス)
|
0000.05.18
|
中京
|
高松宮杯
|
GI
|
芝1200m(良)
|
18
|
8
|
18
|
06.0(3人)
|
2着
|
1:08.2 (35.1)
|
-0.2
|
南井克巳
|
55
|
シンコウキング
|
0000.06.08
|
東京
|
安田記念
|
GI
|
芝1600m(良)
|
18
|
7
|
14
|
20.7(6人)
|
9着
|
1:34.6 (35.9)
|
-0.8
|
吉田豊
|
56
|
タイキブリザード
|
0000.09.28
|
阪神
|
セントウルS
|
GIII
|
芝1400m(良)
|
14
|
7
|
12
|
08.8(4人)
|
11着
|
1:21.6 (36.9)
|
-0.6
|
松永幹夫
|
58
|
オースミタイクーン
|
0000.10.25
|
京都
|
スワンS
|
GII
|
芝1400m(良)
|
16
|
6
|
12
|
06.6(3人)
|
7着
|
1:21.3 (35.4)
|
-0.6
|
熊沢重文
|
55
|
タイキシャトル
|
0000.11.22
|
中京
|
CBC賞
|
GII
|
芝1200m(良)
|
15
|
7
|
12
|
04.1(2人)
|
2着
|
1:08.5 (35.5)
|
-0.6
|
南井克巳
|
55
|
スギノハヤカゼ
|
0000.12.14
|
中山
|
スプリンターズS
|
GI
|
芝1200m(良)
|
16
|
7
|
14
|
32.0(8人)
|
10着
|
1:09.5 (36.9)
|
-1.7
|
吉田豊
|
55
|
タイキシャトル
|
1998.04.26
|
京都
|
シルクロードS
|
GIII
|
芝1200m(良)
|
12
|
8
|
11
|
12.2(6人)
|
5着
|
1:09.0 (35.7)
|
-0.4
|
南井克巳
|
58
|
シーキングザパール
|
0000.05.24
|
中京
|
高松宮記念
|
GI
|
芝1200m(稍)
|
16
|
8
|
16
|
08.7(5人)
|
3着
|
1:09.2 (35.5)
|
-0.1
|
南井克巳
|
55
|
シンコウフォレスト
|
0000.06.14
|
東京
|
安田記念
|
GI
|
芝1600m(不)
|
17
|
2
|
3
|
50.6(10人)
|
7着
|
1:39.1 (39.0)
|
-1.6
|
福永祐一
|
56
|
タイキシャトル
|
0000.07.19
|
函館
|
函館スプリントS
|
GIII
|
芝1200m(良)
|
13
|
5
|
7
|
03.2(2人)
|
2着
|
1:09.3 (35.7)
|
-0.3
|
南井克巳
|
55
|
ケイワンバイキング
|
0000.10.31
|
京都
|
スワンS
|
GII
|
芝1400m(良)
|
14
|
6
|
9
|
24.6(7人)
|
2着
|
1:21.9 (35.9)
|
-0.0
|
南井克巳
|
55
|
ロイヤルスズカ
|
0000.11.28
|
中京
|
CBC賞
|
GII
|
芝1200m(良)
|
14
|
5
|
7
|
02.0(1人)
|
2着
|
1:09.8 (36.1)
|
-0.2
|
南井克巳
|
55
|
マサラッキ
|
0000.12.20
|
中山
|
スプリンターズS
|
GI
|
芝1200m(良)
|
15
|
8
|
16
|
28.2(5人)
|
10着
|
1:09.9 (37.0)
|
-1.3
|
熊沢重文
|
55
|
マイネルラヴ
|
繁殖牝馬時代
引退後はリーディング上位の種牡馬との交配が続けたが、JRA、地方通じて重賞タイトルに縁があるような目立った馬を出すことはできなかった。またファンから、同じエイシン名義の1歳年上で、バーリンと同じく短距離の逃げ馬として活躍したエイシンワシントンとの交配を望む声が上げられていたが、2005年に実際に交配が行われ、翌2006年、鹿毛の牡馬が誕生しているが競走馬にはなれなかった。2007年からは丸村村下ファームへ移動した[9]。
2013年は不受胎に終わり、メラノーマを患っていることもあり当年限りで繁殖を引退し、その後はフォスターホースとして丸村村下ファームで余生を送っていた[2]。しかし、2016年末ごろからクッシング病からくる蹄葉炎を患うようになり、手術も行われたが回復の見込みが立たなかったことから、2017年4月19日朝に安楽死処分となった[5][10]。
産駒一覧
血統表
脚注
注釈
- ^ 当時クラシック出走権がなかった外国産馬が進む路線は、このように呼ばれていた。
出典
外部リンク