ウラヌス・オービター・プローブ(Uranus orbiter and probe)は、天王星探査のミッションである。Planetary Science Decadal Survey 2013-2022により、2011年に初めてアメリカ航空宇宙局(NASA)に勧告された[1]。
NASAは、2017年に科学コミュニティから提案された20のミッション計画を、軌道や特定の目的に必要な技術等を考慮して評価した。惑星の位置と配列のため、天王星の方が海王星よりも有利であった[2]。採択されると、提案されたミッションの打上げは、毎年21日間の打上げ窓で2020年代に行われることとなった[2]。
概要
評価の結果、ウラヌス・オービター・プローブは、マーズ2020、エウロパ・クリッパーに次ぐ3番目の優先順位のフラッグシップミッションとなった。打上げ機として、ボーイングからスペース・ローンチ・システムが提案された[3][4]。
天王星までの化学推進航行は可能であるが、宇宙船の質量を増やせることから、太陽電気推進(NEXTイオンスラスタ)がミッション前半のオプションとされた。委員会により、ミッションのコンセプトが以下の3つに狭められた[5][6][7]。
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フライバイ及び大気プローブ |
オービタ及び大気プローブ |
オービタのみ
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科学的な目的 |
内部構造、組成 |
内部構造、組成、衛星、磁気圏 |
内部構造、組成、衛星、磁気圏
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科学ペイロード |
3個 (50kg) |
3個 (50kg) |
15個 (50kg)
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推進 |
化学推進及び太陽電気推進 |
化学推進 |
化学推進
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飛行期間 |
10年 |
15年 |
15年
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軌道上の期間 |
フライバイ |
3年 |
3年
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出力 |
4 MMRTG 425 W |
4 MMRTG 376 W |
5 MMRTG 470 W
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このミッションの大気プローブでは、雲を構成する分子の垂直分布、熱の層化、深さと風速の関係等を調査する[8]。プローブの質量は30kgで、直径は約0.5mである。
また、ニューフロンティア計画で勧告された、天王星に向けたそのようなオービタを開発する研究もある[9]。
関連項目
- 提案中の天王星ミッション
出典
- ^ Vision and Voyages for Planetary Science in the Decade 2013-2022 Archived 2012-09-05 at WebCite
- ^ a b Uranus and Neptune Orbiter and Probe Concept Studies, Ice Giants Decadal Study
- ^ Chris Gebhardt (20 November 2013). “New SLS mission options explored via new Large Upper Stage”. NASASpaceFlight. 2020年3月20日閲覧。
- ^ “Space Launch System Exploration, Science, Security” (PDF). Boeing.com. September 23, 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年3月30日閲覧。
- ^ It’s time to explore Uranus and Neptune again - and here's how NASA could do it. Loren Grush, The Verge. 16 June 2017.
- ^ Revisiting the ice giants: NASA study considers Uranus and Neptune missions. Jason Davis. The Planetary Society. 21 June 2017.
- ^ NASA Completes Study of Future ‘Ice Giant’ Mission Concepts. NASA TV. 20 June 2017.
- ^ Small Next-generation Atmospheric Probe (SNAP) Concept. (PDF). K. M. Sayanagi, R. A. Dillman, A. A. Simon, et al. NASA, 2017.
- ^ THE CASE FOR A URANUS ORBITER, Mark Hofstadter et al.