ウバユリ
ウバユリ(姥百合[4]、蕎麦葉貝母[5]、学名: Cardiocrinum cordatum)はユリ科ウバユリ属の多年草。山地の森林に多く自生する。ユリに似た花をつけるが、葉は大きく異なる。花が満開になる頃には葉が枯れてくる事が多いため、歯(葉)のない「姥」にたとえて名づけられた[3]。地方による別名として、カバユリ、ネズミユリ、ウバヨロ、ヤマカブ、ヤブユリなどともよばれている[6]。 分布と分類日本の本州(関東・中部地方以西)、四国、九州に分布する[4]。山麓や谷間の草地や林内などの日陰にまばらな集団をつくる[4][6]。中部地方以北・樺太・千島には大型の変種オオウバユリ( C. cordatum var. glehnii )が分布する。 形態・生態開花年齢前の若い株には、地下に葉柄下部がふくらんだ卵形の鱗茎(球根)をもつ[4]。鱗茎は若い株だけに生じる[4]。根は、茎の下部から多数出る。茎は直立して高さ1メートル (m) ぐらいに伸び[6]、茎の下部にかたまって輪生状に5 - 6枚の葉をつける。葉は、長さ15 - 25センチメートル (cm) の細長い心形で、網状の脈があり[4]、縦に巻いているものが次第に開く。若苗のころは、葉脈や葉縁が褐紫色になる特徴がある[6]。葉には長い柄があり[4]、基部は太くなる。若い苗は根出葉だけだが、鱗茎が大きくなると、直立する茎の高さは50 - 100 cmほどまで伸びる[4]。茎は中空で無毛。花をつける頃になると元の鱗茎は無くなり、秋にかけて新しい鱗茎ができる[4][6]。 花期は夏(7 - 8月ごろ)[4]。茎の先端にテッポウユリに似た横向きの花を2 - 4個つける[4]。花は緑白色で、長さ12 - 17 cmの細長い花びらがやや不規則に並ぶ。花後は長さ4 - 5 cmで楕円形の果実をつける。扁平な種子には広い膜があり、長さ11 - 13ミリメートル (mm) の鈍3角形になる[3][7]。
利用3 - 5月ごろの若芽は食用になり、おひたしや和え物にする[4]。鱗茎は、冬(11 - 翌年1月ごろ)に枯れた茎葉を探して掘り採り、百合根と同じように鱗片をはがし、さっと茹でて和え物、煮物、きんとん、マヨネーズ和えなどにする[4][6]。生のまま1片ずつ剥がして天ぷらやフライにもできる[4][6]。茹でた鱗茎はソフトな舌触りで、クセや苦みはない[6]。酒を加えて砂糖煮にするとデザートになる[6]。 近縁種で、日本海側に分布する大形のオオウバユリも食用となる[4]。 脚注
参考文献
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