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この項目では、種子植物について説明しています。同名の海藻については「イソマツ (紅藻)」をご覧ください。 |
ウコンイソマツ
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狭義のイソマツの花(var. arbusculum)、 西表島産
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分類
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学名
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Limonium wrightii (Hance) Kuntze
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和名
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ウコンイソマツ、イソマツ(広義)
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変種、品種
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- var. wrightii
ウコンイソマツ
- var. arbusculum
イソマツ(狭義)
- f. albescens
シロバナイソマツ
- f. albo-lutescens
ウスジロイソマツ
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ウコンイソマツ(鬱金磯松、学名:Limonium wrightii)は、イソマツ科イソマツ属に属するごく小さい低木である。別名キバナイソマツ。また学名 L. wrightii は広義のイソマツをさす。
特徴
- 分布
日本では伊豆諸島及び小笠原諸島、南西諸島に、日本国外では台湾の蘭嶼に分布する。
- 生育環境
海岸の海水が飛沫する石灰岩の岩礁帯に生育する。
- 形態
小型の低木で、樹高10-30cm程度。木質化した茎は細かく分岐し、無毛で黒色である。葉の落ちた跡の幹が松のようであることから磯の松で「イソマツ」と名付けられた。葉はロゼッタ状で、長さ1-10cm程度のへら形、先端は円く、全縁、革質。花期は夏-秋(8-11月頃)で、ロゼッタ葉の基部から長さ1~30cm程度の花茎をのばし、その先端に円錐花序をつける。花冠は筒状で、5裂する。花の色には種内変異があり、主に黄色や桃色だが、白色、薄い黄色なども見られる。
種内分類
本種の花の色には多様な変異があることが知られており、さらに花の色により分布する地域(島嶼)が異なるため、2変種・2品種に分類されている(4品種とする文献もある、初島ら、1997年)。
- Limonium wrightii
- var. wrightii
- ウコンイソマツ(キバナイソマツ)。奄美群島、沖縄諸島、台湾に分布。基本変種。花の色は黄色で、これが和名のウコン(黄色)の由来となっている。シノニム:var. luteum、f. wrightii
- var. arbusculum
- イソマツ(狭義)。伊豆諸島、小笠原諸島、奄美群島、宮古諸島、八重山諸島、台湾に分布。花の色は桃色。シノニム:f. arbusculum
- f. albescens
- シロバナイソマツ。粟国島及び与那国島に分布。花の色は白色。
- f. albo-lutescens
- ウスジロイソマツ。大東諸島に分布。花の色は薄い黄色。
利用
薬用、園芸用(盆栽、鑑賞)に用いられる。
保護上の位置付け
生育地である海岸の開発や、薬用及び園芸用の採集により、個体数・生育環境とも減少し、絶滅のおそれが高まっている。
- ウコンイソマツ(環境省レッドリストではキバナイソマツで掲載されている)
- 絶滅危惧II類 (VU)(環境省レッドリスト)
- 鹿児島県RDB 絶滅危惧II類
- 沖縄県RDB 絶滅危惧IB類
- イソマツ
- 絶滅危惧II類 (VU)(環境省レッドリスト)
- 東京都RDB(小笠原諸島) - Bランク(絶滅の危機が増大している種)
- 鹿児島県RDB 絶滅危惧II類
- 沖縄県RDB 絶滅危惧IB類
ギャラリー
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ウコンイソマツ(沖縄県国頭郡恩納村)
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狭義のイソマツ(沖縄県石垣市)
参考文献
- 沖縄県文化環境部自然保護課編 『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(菌類編・植物編)-レッドデータおきなわ-』、2006年。
- 鹿児島県環境生活部環境保護課編 『鹿児島県の絶滅のおそれのある野生動植物-鹿児島県レッドデータブック植物編-』 財団法人鹿児島県環境技術協会、2003年。
- 環境省報道発表資料 『哺乳類、汽水・淡水魚類、昆虫類、貝類、植物I及び植物IIのレッドリストの見直しについて』、2007年8月3日。
- 環境庁自然環境局野生生物課編 『改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物8 植物I(維管束植物)』 財団法人自然環境研究センター、2000年、ISBN 4-915959-71-6。
- 島袋敬一編著『琉球列島維管束植物集覧』 九州大学出版会、1997年。
- 多和田真淳監修・池原直樹著『沖縄植物野外活用図鑑 第4巻 海辺の植物とシダ植物』 新星図書出版、1979年。
- 初島住彦・天野鉄夫『増補訂正 琉球植物目録』 沖縄生物学会、1994年。
外部リンク