ウィリアム・ボイド (作家)
ウィリアム・ボイド(William Boyd、CBE、1952年3月7日 - )は、イギリスの小説家、脚本家。 経歴1952年、ガーナの首都・アクラに生まれ、幼少期をガーナとナイジェリアで過ごす[1]。スコットランドの名門寄宿学校・ゴードンストウンを経て、フランスのニース大学へ進学。更にグラスゴー大学、オックスフォード大学のジーザス・カレッジでも学んだ。1980年から1983年にセント・ヒルダズ・カレッジで英語の講師を務めながら、1981年に処女作『グッドマン・イン・アフリカ』(原題:A Good Man in Africa )を上梓。 2005年、大英帝国勲章のコマンダーに叙された。2014年8月、スコットランド独立に反対する200人の著名人の署名が『ガーディアン』に寄せられ、ボイドもサインした1人である[2]。 作品解説小説メジャーな文学賞の最終候補に残ったり、受賞したこともあるが、知名度はそれほど高くない。1983年に文芸誌『グランタ』が行ったプロモーションで「20人の若手国内作家」の1人に選ばれた。 1981年に上梓した処女作『グッドマン・イン・アフリカ』は、西アフリカで活動するイギリス人外交官に降りかかる災難を描いた作品で、ウィットブレッド賞とサマセット・モーム賞を受賞した。翌1982年に発表した『アイスクリーム戦争』(原題:An Ice-Cream War )は、第一次世界大戦下の東アフリカの植民地で起こった戦闘(アフリカ戦線)を描いており、ジョン・ルウェリン・リース記念賞を受賞したほか、ブッカー賞にノミネートされた。1991年に発表した"Brazzaville Beach" は、アフリカでチンパンジーの行動を研究する女性科学者の物語で、2002年の"Any Human Heart" は20世紀のイギリス人作家の架空の日記という体で執筆され、ブッカー賞の一次候補になった。2006年に発表した『震えるスパイ』(原題:Restless )は、母が第二次大戦中にスパイにリクルートされ諜報活動に加わっていたことを知った若い女性の物語で、コスタ賞の最優秀小説部門を受賞した。2012年には"Waiting for Sunrise" を発表した[3]。 ジェームズ・ボンド・シリーズの新作2012年4月11日、ジェームズ・ボンド・シリーズの新作の執筆を任されることが発表された[4]。タイトルは"Solo" 、1969年を舞台とした作品で、2013年9月にジョナサン・ケープ社から刊行された。 ボイドは2002年に発表した小説"Any Human Heart" の中で、第二次大戦中に主人公のローガン・モンスチュアートを海軍のスパイにリクルートする役どころで、ボンドの生みの親イアン・フレミングを登場させている[5]。 また、ジェームズ・ボンドを演じた3人の俳優、ショーン・コネリー、ピアース・ブロスナン、ダニエル・クレイグと共演したことがある[6]。 脚本脚本家としても数多くの映画やテレビドラマに携わっている。1987年にイーヴリン・ウォーの『スクープ』を皮切りに、自著『スターズ・アンド・バーズ』(1988年)、『グッドマン・イン・アフリカ』(1994年)、『チャーリー』(1992年)などの脚本を執筆し、『ザ・トレンチ(塹壕)』(1999年)では監督も務めた。イングランドの私立学校の日常を描いた自身の短編"Good and Bad at Games" (1983年)や、『コリン・ファースのときめきアムステルダム』(Dutch Girls 、1985年)などテレビ映画も手掛けている。 悪ふざけ1998年に発表した"Nat Tate: An American Artist 1928–1960" は、1950年代にニューヨークを拠点に活動した抽象表現主義の画家ナット・テイトの悲劇的な人生をつづった伝記であるが、この人物も絵画もボイドの創作によるものである。刊行当初はフィクションであることが伏せられていたため、完全に騙された読者もいた。デヴィッド・ボウイが(ジョークで)この本からの言葉を引用したり、著名な芸術家たちもナット・テイトという名を覚えておくべきだと叫んだため、事実が明かされると、ちょっとした騒動となった[7]。なお、ナット・テイトという名前は、イギリスを代表する美術ギャラリー「ナショナル・ギャラリー (National Gallery) 」と「テート・ギャラリー (Tate Gallery) 」に由来する。また、"Any Human Heart" にもナット・テイトを登場させている。 演劇2013年には、アントン・チェーホフの短編"A Visit to Friends" と"My Life" を演劇"Longing" 用の脚本も手掛けた[8]。監督はニーナ・レイン、出演者はジョナサン・ベイリー、タムシン・グレイグ、ナターシャ・リトル、イヴ・ポンソンビー、ジョン・セッションズ、ケイトリン・スチュアートらである。[9][10] 1970年代、グラスゴー大学で演劇の批評をしていたため、俳優業をしている友人が多くおり、演劇の脚本を書きたいというボイドの望みがようやくかなった[10]。 作品リスト小説
短編集
ノンフィクション
その他
文学関連の受賞・候補歴
出典
参考
外侮リンク |