イペイペ[1]あるいはイペー[2](ipe; ポルトガル語: ipê)は、シソ目ノウゼンカズラ科の広葉樹。別名パオロペとも呼ばれる[3]。木材としてはタベブイア属(Tabebuia)の数種類から得られたものを指す語である[1][4]が、一部はHandroanthus属に分類し直されている。イペとは南米先住民語のトゥピ語で〈皮の厚い木〉を意味する[2]。 場合によってはラパチョ(lapacho)やグリーンハート(greenheart)、アイアンウッド(ironwood)とも呼ばれるが、グリーンハートとして有名であるのはイペとは分類学的にも離れているクスノキ目クスノキ科の Chlorocardium rodiei(シノニム: Ocotea rodiei)であり[1]、またアイアンウッドはこれまた互いに分類学的な類縁関係の薄い何種類もの樹種を指して用いられる語である。 樹としての特徴そもそもイペの名で呼ばれる樹木は以下のように複数種が存在する。分類情報は World Flora Online による[5]。
キバナノウゼン(学名: Handroanthus chrysanthus)は樹高30メートル[2]、パウドアルコアマレロ(学名: Handroanthus serratifolius)[9]やイペーロッシヨ(ポルトガル語: ipê-roxo〈紫イペ〉; 学名: Handroanthus impetiginosus)は樹高45メートルにまでなる場合がある[7]。イペーロッシヨにはラバコールと呼ばれる成分が含まれており、防腐効果や防虫効果を発揮するとされている。南米の原住民は、紫イペの樹皮の内側の層を削って煎じてラパチョと呼ばれる民間煎じ飲料として使用する。解熱・消炎・妊娠中絶・健胃効果があるとされる。 木材としての特徴年輪や杢目に乏しく、南方材らしく密に詰まった材質をしている。色は薄褐色から暗色の帯のものまでかなり幅広く、辺材は黄白色である[1]。腐りにくい反面加工しづらく、ドリルで穴あけしないとビス打ちも困難なほど硬い。水につけても腐りにくいが、乾燥すると割れたり狂いが出やすい。シロアリや湿気に強い。気乾比重は0.91-1.20であり[4]、水に沈むハードウッドである。 アレルギーイペに含まれる含まれるラバコールは人によってはアレルギーを起こすため、加工時にはマスクを着用したほうが良いとされる。舞った木屑で炎症を起こす可能性があり[1]、木工家の河村寿昌は「マスクをしないと鼻がむずむずする」と語っている[4]。木屑が皮膚に接触すると、接触性アレルギーを起こすこともある。 用途木材建築物の基礎、ウッドデッキ、フローリングなどに使用される。用途としてはウリンなどと同様の分野に使用される。 ヴァイオリン属の楽器の弓材の、希少なブラジルボク(フェルナンブーコ)の代替材として世界で評価されている[12]。 特記事項
ギャラリーHandroanthus属:
タベブイア属:
脚注
参考文献英語:
日本語:
関連項目
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