組曲『アルザスの風景』(アルザスのふうけい、仏:Scènes alsaciennes)は、ジュール・マスネが1881年に作曲した管弦楽用組曲。演奏時間は約23分。
概要
マスネの7曲の管弦楽組曲のうち最後に完成された曲である。1870年から翌年にかけて行われた普仏戦争の際、マスネは兵士としてアルザスに駐留し、後年になって当時の印象を楽曲にまとめたのが本作とされる。アルザスの民謡やプロテスタントのコラールを用いて平和な日曜の一日を描いているが、第4曲において軍楽の調べ(帰営ラッパなど)を盛り込ませたりもしている。7つの組曲の中では、第4番に当たる『絵のような風景』と並んで有名である。
初演
1882年3月にエドゥアール・コロンヌ指揮コンセール・コロンヌにより初演。
編成
フルート、ピッコロ、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、コルネット2、トロンボーン3、チューバ、信号ラッパ、ティンパニ、スネアドラム、バスドラム、シンバル、トライアングル、鐘、弦五部[1]
構成
以下の4曲からなる。
- 日曜日の朝(Dimanche matin)
- 木管楽器により日曜の朝の平和な気分が描かれる。次に速度を落としてコラール「目覚めよと呼ぶ声あり」が弦楽器に現れる。もう一度木管が登場し、荘重な雰囲気の中、曲を終える。
- 酒場で(Au cabaret)
- ティンパニの強打により導かれる激しいワルツ。中間部はホルンが活躍する。
- 菩提樹の下で(Sous les tilleuls)
- 日曜日の夕暮れを描いた曲とされる。鐘が6時を打ち、独奏チェロ、クラリネットにより抒情的なメロディが奏でられる。
- 日曜日の夕方(Dimanche soir)
- アルザスの民謡旋律を用いた舞曲で始まる。盛り上がりが最高潮に達した時、スネアドラムが打たれ、「帰営ラッパ」が吹かれる。8時の鐘が鳴り響き、ラッパは次第に小さくなり、静寂が訪れる。突然第2曲のワルツが登場、冒頭の舞曲も戻り、興奮の中、曲は終わる。
脚注
- ^ マスネは第4曲でさらに4本のホルンを追加することを望んでいた。また、同曲の「帰営ラッパ」の部分ではトランペットあるいはコルネット6、スネアドラム3(無理ならばトランペット4、スネアドラム2)は欲しいとしている。
参考文献
- 「最新名曲解説全集5 管弦楽曲II」(音楽之友社)
外部リンク