アルベール・ガルロンの描いたアテネ音楽堂の完成図
アテネ音楽堂 またはアテニウム (ルーマニア語 : Ateneul Român ) は、ルーマニア の首都、ブカレスト の中心部にあるコンサートホール である。1888年に開業し、装飾されたドームを備える円形の建物になっている。ブカレストを代表するコンサートホールで、ジョルジェ・エネスク・フィルハーモニー管弦楽団の本拠地や、ジョルジェ・エネスク国際音楽祭の開催地である。
歴史
1865年、コンスタンティン・エサルク、V・A・ウレキア、ニコラエ・クレツレスクなどの文化人、科学者がルーマニア・アテニウム文化協会を設立した。アテネ音楽堂は、この協会の目的を達成するため、芸術や科学に捧げる建物としてブカレストに建設された[ 1] 。
建物はフランスの建築家、アルベール・ガルロンによって設計され、ヴァカレスク家の資金提供により1888年に開業したが、工事は1897年まで続けられた。建設資金の一部は、28年間に及ぶ募金活動によって集められた。当時のスローガンは、「アテネ音楽堂のために1レウ の寄付を!」というものだった[ 2] 。
1919年12月29日、アテネ音楽堂は、大ルーマニア 実現のため、ベッサラビア 、トランシルヴァニア 、ブコヴィナ のルーマニア王国 編入を承認する決議が行われた歴史的な会議の舞台となった。
1992年には、建物の崩壊を防ぐため、ルーマニアの建設会社と修復画家であるシルヴィウ・ペトレスクの手により、拡張工事と修復作業が行われた。この工事に投じられた900万ユーロの予算は、政府と欧州評議会開発銀行 が半分ずつ負担した[ 3] 。
建築と設備
全体的には新古典主義建築 となっているが、よりロマン主義的な要素もみられる。建物の前には小さな公園と、ルーマニアの詩人、ミハイ・エミネスク の銅像がある。
内部の地上階には、上階のオーディトリアム と同じ大きさの装飾がなされた会議ホールが入っている。オーディトリアムには一般席が600席あり、他に特別席が52席ある。
コンサートホール内側の円形の壁には、コスティン・ペトレスクによる横75m、縦3mの絵画が存在する。フレスコ 画法を用いて描かれた作品には、ローマ皇帝トラヤヌス によるダキア 征服から、1918年の大ルーマニア 実現まで、ルーマニア史の重要な場面が表現されている。
建物はルーマニア文化の象徴とみなされており、2007年に欧州遺産ラベルを獲得した[ 4] 。
ギャラリー
1906年撮影
1936年撮影
1940年撮影
1941年撮影
ファサードの夜景
ステージの様子
客席
50,000レウ札に描かれる
出典