アストンマーティン・シグネット
シグネット(CYGNET )は、イギリスの自動車メーカー、アストンマーティンがかつて販売していたハッチバックタイプのコンパクトカー(マイクロクーペ)。トヨタ・iQをベースとしている。 概要アストンマーティンの車種体系は大型のスポーツカーやGTカーが中心であるが、将来的に環境性能(CAFE)に優れた小型車をラインナップする必要があると判断され、トヨタ自動車との連携によって誕生したのがシグネットである。 2007年、GAZOO Racingの活動の一環としてニュルブルクリンク24時間レースに出場した豊田章男が、当時アストンマーティンのCEOを務めていたウルリッヒ・ベッツと同じピットになったことから交流を深め、両社の提携に至った。シグネットのベースにiQが選ばれた理由は、「シャシー性能の高さ」「サイズ」「高い安全性」「プロポーション」の4つがアストンマーティンの提唱する高級小型車像にマッチしたためである[1]。 iQの完成車両を日本のトヨタ高岡工場より輸送した後、ボディの内外装を分解し、1台1台職人の手作業によりシグネットへとカスタマイズする方法が採られており、完成には1台あたり約150時間を要する[1]。 メカニズム基本骨格はiQと共通であるが、ルーフ、左右ドア、リアフェンダーを除く外板パネル全てが専用設計である。フロントにはアストンマーティンのアイデンティティーである「ブライトフィニッシュグリル」が装着され、エンジンフードにはDBSと共通のエアインテークを追加。フロントフェンダー(スカットル上部)にもエアアウトレットを設けられ、iQとは異なる外観意匠としている。リアコンビランプも当時のDBシリーズと共通イメージのU字型となっているが、DB各車が内側に開いているのに対し、シグネットは外側に開いている。 インテリアも同様にiQをベースとするが、アストンマーティンならではのクラフトマンシップを取り入れてスポーティ性と高級感を演出し、赤色をベースに黒色を組み合わせた本革のシート表皮とトリムをはじめとして、センタークラスターの一部もアストンマーティンらしさを打ち出したダッシュボードとの連続性のあるものに変更されている。 前後サスペンションや、1NR-FE型 1.3 L 直列4気筒エンジン、6速MTまたはCVTが設定されるなど、シャシやパワートレインはiQと同一である。ただし、消音材の追加やエンジンマウントの変更によって静粛性の向上が図られている[1]。 V8シグネット2018年7月、シグネットのワンオフモデルとなる「V8シグネット」が発表された。顧客の要望によってアストンマーティンのパーソナライズ部門「Q by Aston Martin」により製造され、V8ヴァンテージSに搭載されている4.7リットルのV8エンジンを搭載し、最高出力は430BHP、最大トルク490Nm、0-100km/hの加速は4.2秒、最高速度は274km/h。4点式ハーネスを備えたバケットシートやFIAに準拠した消火システム、ヴァンテージの計器クラスタ取り入れた別注のカーボンファイバー複合計器パネルが内装に採用されるなど、量産モデルとは異なるサーキット走行を意識した仕様となっている[2]。 歴史
外部リンク
関連項目脚注
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