アオオニグモ
アオオニグモ(青鬼蜘蛛、蒼鬼蜘蛛)は、緑っぽい色のクモで、中型のオニグモ類としては最も普通なもののひとつである。木立の枝先に切れ網を張る。 特徴アオオニグモ(Araneus pentagrammicus (Karsch))は、節足動物門クモ綱クモ目コガネグモ科オニグモ属に含まれる。大型種を含むこの群の中では中型の種である。 全身が緑っぽい水色のクモである。雌は体長9-11mm、頭胸部はやや褐色を帯びるが、歩脚は緑色。腹部は短い卵形で前方がやや幅広いが、肩の隆起などはない。腹部は全体に緑を帯びた水色で、両肩に黒っぽい横長の斑紋があり、後方には階段状に横線が入る。これらの斑紋は個体によって濃淡があるが、大まかに言ってあまり目立たず、全体に青っぽいクモという印象である。 雄は体長5-6mm、雌を全体に小さく、特に腹部を小さくしたような印象。 習性など森林に多く、特に林縁部などで見かけることが多い。初夏に木立の枝先などのあまり高くないところに直径20-30cm程度の円網を作る。網の糸は時間がたつと金色を帯びる。 網はいわゆるキレ網で、典型的な円網に見えるが、その縦糸(放射状に張られた糸)の間の連続する2区画ほどに横糸(同心円的に張られた粘る糸)が張られていない。クモは網の中心におらず、横糸の切れた方の端っこの枠糸の繋がったところに潜んでいる。大抵はここに木の葉を樋状に表面側に歪め、その上に糸を張って幕を作り、それによって簡単ながら巣が作ってあり、クモはこの巣の中に隠れている。網の中央からクモのところに一本の糸(呼糸と呼ばれる)が引かれており、これによって網にかかった虫の振動がクモに伝えられる。クモは餌を捕まえると巣に戻って食べる。 類似種形態的に似ているのはビジョオニグモ(A. mitificus (Simon))である。この種は全体に形態がよく似ており、色もやや近いがむしろ白っぽく、その腹部の前縁に黒い斑紋が入り、その中央に丸く穴が空いたようになっているなど、その姿が美しい。名前の美女鬼蜘蛛もその美しさによる。やや個体数は少ない。琉球列島にはこれに似たチュラオニグモ (A. amabilis Tanikawa)がある。
オニグモ属のものではハラビロミドリオニグモ(A. viridiventris Yaginuma)があるが、これはやや珍種に属し、腹部が横に広い。 なお、名前は青鬼蜘蛛であるが、これは青い鬼蜘蛛で、青鬼の蜘蛛ではない。名前から見るとアカオニグモ(A. pinguis (Karsch))と対をなしているが、アカオニの方は北方系の大型種で、その迫力はアオオニの比ではない。 参考文献
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