アインシュタイン (単位)
アインシュタイン(ドイツ語: Einstein, 記号:E)は、光化学で用いられる、光子の物質量(モル数)に関係した単位である。アインシュタインという単位名称は、1905年の論文において光電効果の原因を解明し、光量子(現在は光子と呼ばれる)という考えを示したアルベルト・アインシュタインにちなむ。 定義と意味1 アインシュタインは、1 モル(アボガドロ数個)の光子が持つエネルギーと定義されている[1]。ただし、光の光子あたりエネルギーはその周波数(あるいは波長)によって変わる[1]。同じアインシュタインでもエネルギーは数倍(理論上は数千倍でも数百万倍でも)変わるので、アインシュタインはエネルギーそのものを表す単位ではない。 実際はアインシュタインは、エネルギーではなく光子の物質量を表すのに使われる。つまり、「光子の物質量は 10 モルである」と言いたいときに「光のエネルギーは 10 アインシュタインである」のように言う。この際、そのエネルギーが具体的にどれだけか(何ジュールか)は問題としない。 換算アインシュタインをジュール(あるいは他のエネルギーの単位)に換算するには、光の周波数か波長を特定する必要がある。 光子 1 個のエネルギーはプランク定数×周波数なので、hNA(プランク定数×アボガドロ定数)= 3.9903127128934314×10−10 J·s/mol(ジュール秒毎モル)に周波数をかければ換算係数が求まる。あるいは、h · c · N A(プランク定数 × 光速度 × アボガドロ定数) = 1.1962656563869700914603812×10 −1 J·m/mol(ジュールメートル毎モル)を波長で割ってもいい。2019年にSI基本単位が再定義されたことによりプランク定数、アボガドロ定数、光速度がすべて正確な定義値になったため、それぞれの換算係数も正確な値である。 こうして求まる換算係数は J/mol(ジュール毎モル)である。アインシュタインは実質的に物質量でありモルに等しいので、アインシュタインの値にこの換算係数をかければジュールの値が求まる。なお、換算係数でなく「1アインシュタインのエネルギー」を考える場合は、以上の全ての値に 1 モルをかけて単位から /mol を消しておく。 使用例アインシュタインは光合成の研究に用いられる。それは、酸素の生産量が与えられているとき、それに必要な光の条件は、光の周波数ではなく光子の量であるからである。例えば、1 モルの酸素を生産するためには約 9 アインシュタインの光子が必要である。 放射照度は、E/s·m2(アインシュタイン毎秒毎平方メートル)として計測することができる。なお、SI における放射照度の単位は W/m2(ワット毎平方メートル) = J/s·m2(ジュール毎秒毎平方メートル)である。光合成有効放射 (PAR) はアインシュタインの10−6 倍のマイクロアインシュタインを用いて、µE/s·m2(マイクロアインシュタイン毎秒毎平方メートル)という単位で報告されることが多い。 出典
参考文献
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