ゆうばり型護衛艦(ゆうばりがたごえいかん、英語: Yubari-class destroyer escort)は、海上自衛隊の護衛艦の艦級。先行する「いしかり」(52DE)を発展させた護衛艦(DE)として、昭和54年度及び55年度計画で1隻ずつが建造された。建造単価は166億円(昭和55年度)。
来歴
海上自衛隊では、従来の駆潜艇(PC)の代替として第3次防衛力整備計画で検討した沿岸警備艦(PCE)の計画を更に発展させ、ポスト4次防の昭和52年度計画で「いしかり」を建造した。
しかし52DEはあまりに小型で余裕が乏しく、また船型にも起因する荒天下での行動力の不足も問題となった。当初計画では、引退する駆潜艇の代替として同型艦を更に建造する予定だったが、同艦の就役以前の時点で、続く昭和54年度での建造艦は、船型を若干拡大した準同型艦とされることになった。これが本型である。
設計
上記の経緯より、基本設計は52DEの発展型となっている。基本計画番号はE111。
中央船楼型という船型は踏襲され、外見上も酷似するが、基準排水量を約200トン、全長で6メートル延長し、全幅および深さも若干増大した。これに伴い、CICを含む戦闘区画や居住区の床面積が増大するとともに、倉庫も増設されて生活・居住環境は改善された。また燃料タンクも大型化され、燃料搭載量が約35パーセント増大したことで、航続距離の延伸にもつながった。
機関は52DEと同構成であり、三菱重工業6DRV35/44ディーゼルエンジンと川崎-ロールス・ロイス オリンパスTM3BガスタービンエンジンによるCODOG方式とされた。
装備
装備は52DEの構成が踏襲され、レーダーとしては対空警戒・対水上捜索両用のOPS-28-1、ソナーとしてはSQS-36D(J)をハルドームに収容して搭載し、艦橋天蓋上にOAX-1赤外線暗視装置を搭載した。また電子戦支援(ESM)装備としては、NOLR-6B電波探知装置とOLR-9Bミサイル警報装置が搭載された。
兵装も同様で、艦首甲板には62口径76mm単装速射砲(76mmコンパット砲)、船楼甲板前端部には375mm4連装対潜ロケット発射機(71式ボフォースロケットランチャー)、船楼甲板中部には324mm3連装短魚雷発射管(68式)、そして艦尾甲板にはハープーン艦対艦ミサイルを搭載した。個艦防空能力強化のため、延長された船楼甲板後端部に高性能20mm機関砲(CIWS)を後日装備する計画もあったが、実現しなかった。
同型艦
艦番号
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艦名
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建造
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起工
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進水
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竣工
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除籍
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DE-227
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ゆうばり
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住友重機械工業 浦賀工場
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1981年 (昭和56年) 2月9日
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1982年 (昭和57年) 2月22日
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1983年 (昭和58年) 3月18日
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2010年 (平成22年) 6月25日
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DE-228
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ゆうべつ
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日立造船 舞鶴工場
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1982年 (昭和57年) 1月14日
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1983年 (昭和58年) 1月25日
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1984年 (昭和59年) 2月14日
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発展型
52DEの発展型として建造されたものの、本型もなお過小との評価を受け、同型艦の建造は昭和55年度計画の「ゆうべつ」で打ち切られた。
その後、56中業の昭和58年度計画では、いすず型(34DE)やちくご型(42DE)の更新用として、本型を発展させた1,600トン型3隻の建造が検討された。この58DEでは、水中放射雑音低減などのため主機関をCODOG方式からオリンパスTM3Bのみによる構成に変更するとともに、凌波性向上のため船型を長船首楼型に改正していたが、同年度ははたかぜ型2番艦「しまかぜ」やあさぎり型など大型護衛艦の予算要求があったこともあって、大蔵省の査定落ちとなった。その後も検討と交渉が重ねられた結果、計画は61中期防に持ち越されて、設計・装備ともに刷新した2,000トン型(あぶくま型)に結実することになる。
登場作品
アニメ・漫画
- 『なるたる』
- 「ゆうべつ」が登場。海面に激突したイカツチの残骸もとい死骸の回収のため、現場海域で捜索にあたる。
小説
- 『東京湾にソ連潜を追え』
- 「ゆうばり」が登場。東京湾に侵入した架空のソ連海軍小型潜水艇「シー・ラット」を追跡する。作中では、護衛艦「いしかり」をネームシップとする「いしかり型護衛艦」の2番艦と設定されているが、実際は上記の通りに「いしかり」を改良した準同型艦であるため、厳密には同型艦ではない。
出典
参考文献