ぬのびき型消防艇
ぬのびき型消防艇(ぬのびきがたしょうぼうてい)は、海上保安庁に所属していた消防艇。海上保安庁の船種はFM(PC型巡視艇相当)であった。 開発1969年(昭和44年)、多発するタンカーの炎上事故に対応するために、海上保安庁はタンカー火災に対応できるひりゆう型消防船3隻を主要港に配備した。一方で、地方の港湾における船舶火災に対応できる小型の消防艇が求められ、1974年(昭和49年)2月25日、1番船の「ぬのびき」が竣工した。 設計各地に配備されていたおとわ型消防艇などの小型消防艇を代替し、10万トン級の石油タンカーの火災に対応できるように設計された。外観はひりゆう型消防船を小型化したような大型の櫓が特徴である。エンジンは、600馬力のディーゼル1基と500馬力のディーゼル2基を装備し、消火活動時は主機関を消防ポンプ駆動に用いて、小型エンジン2基で移動する[1]。 消防用設備ひりゆう型消防船と比べて、ほぼ半分の消火装備を有する。 第1放水甲板(櫓最上層)には、近距離火災に用いる放水銃(放水能力:3,000L/分)を2基装備する。船橋天井には、類焼を防ぐための冷却用海水を放水する海水専用放水銃(放水能力:6,000L/分)を1基設置している。第2甲板(櫓中層)には、夜間に用いる探照灯を設置した。消火に主に用いるのは、船首に搭載した泡水兼用放水銃(放水能力:1,800L/分)1基である。さらに、陸上への送水援護や部分消火用に6,000L/分の送水が可能なホース接手を船橋前方に2基備えている。 自衛用の設備として、海水を扇状に噴霧するノズルが設置されているほか、油処理剤の散布装置も搭載している。 運用1番船「ぬのびき」が就役した1974年(昭和49年)に起きた第十雄洋丸事件では、ひりゆう型消防船3隻が消火活動にあたったが、鎮火できずに第十雄洋丸を撃沈処分するという結果になった。海上保安庁ではひりゆう型消防船に加えて本級の配備も強化し、1981年(昭和56年)までに10隻のぬのびき型消防艇が建造された。 1999年(平成11年)に老朽化のため3番船「おとわ」が退役し、2013年(平成25年)2月12日に最後に残った「きよたき」が解役されて、全船が解役した[2]。後継として、本級以上の消火能力を有するよど型巡視艇が建造されている。 同型船
参考文献
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