すごい科学で守ります!『すごい科学で守ります!』(すごいかがくでまもります)は、漫画家兼特撮評論家の長谷川裕一による「スーパー戦隊シリーズ」を中心とした特撮作品におけるSF考証をまとめた解釈書である。 『特撮SF解釈講座』という副題が添えられている。 概要科学的な考証ではなくいわゆるSF考証を行っていることが本シリーズの特徴である。あくまでも画面上の展開に基づく考察(のため公式設定とは必ずしも一致していない)及び、本来世界観を共有していない東映特撮作品がリンクしているという前提の上で、独自の考証を展開している。1作目の『すごい科学で守ります!』ではスーパー戦隊シリーズが(公式的には)世界観を共有していないと考える一方[注 1]、あえてそれらが同一世界であるとした考察を行った。2作目の『もっとすごい科学で守ります!』では一作目で省いていた『秘密戦隊ゴレンジャー』と『ジャッカー電撃隊』を加えて、仮面ライダーシリーズや宇宙刑事シリーズとスーパー戦隊シリーズがリンクしていると仮定、第3作目の『さらにすごい科学で守ります!』ではメタルヒーローシリーズも加えて東映特撮作品全体が世界観を共有しているという考察を展開している。 解説本作で語られている設定の内容はオフィシャル設定ではなく長谷川ならびに協力者の「考え方の一例」である。 書物製作の発端となったトークショーなどのイベントでは「ウルトラシリーズ」や「ゴジラシリーズ」などに言及する事もあるが、出版物では東映の製作した作品のみを扱っている。 あくまでも「SF考証」のため『空想科学読本』に代表されるような「科学考証」とは趣が異なる。それは著者の「作中における各種超科学・超自然現象はあくまでもその世界の中にある法則で動いているものであり、これを現実世界における基礎物理学をはじめとする従来の科学で解説する事は作品の存在意義そのものを否定する事となるため、ナンセンスであり無意味である」という考え方にのっとっている。 以下の書籍がNHK出版より発行されている。
『もっと~』は第32回(2001年)星雲賞ノンフィクション部門を受賞した。 2023年には、上記3冊を合本にした以下の書籍がNHK出版より発売された。
長谷川は2015年のインタビューで『さらに』後の刊行が途絶えている理由について、近年のスーパー戦隊シリーズが科学をバックボーンにしていないため理屈がつけられないからと述べている[2]。 シリーズ独自の設定考証『すごい科学で守ります!』シリーズにおいて、長谷川は次のような基準で考証を行っている。
ここから導き出された考証結果や設定は、公式設定ではない。また、東映側はこの書籍で解説されている設定について公式な声明は行っていない。 技術に関する考証本シリーズでは、魔法的バイオテクノロジー、遺伝子操作、機械技術など、さまざまな技術・テクノロジーの融合が背景にあると定義している。
歴史考証スーパー戦隊シリーズでは『オーレンジャー』と『ゴーゴーファイブ』が共に1999年という設定になっており、ひとつの時間の流れで説明を続けることが困難になっている。そのために「ネジレジア混乱」という同じ年代が繰り返された理由を本シリーズ独自に設定し、矛盾を回避する試みを行っている。「ネジレジア」とは『メガレンジャー』に登場する敵組織の名称で、異次元からの来訪時のの影響で地球全体が巨大な時空の歪みに巻き込まれ、宇宙の他の領域に対して4年分過去に戻ってしまったと定義した。この設定に伴い『カーレンジャー』から『ギンガマン』までの3作品は2000年から2002年までが舞台として扱われているが、『カーレンジャー』劇中では第16話並びに第46話にて1996年から1997年が舞台である描写が明示されているため矛盾が生じている。
人物に関する考証「すごかが」では、「同じ顔の者(同じ役者が演じた者)は同一人物」という考察が、しばしば見られる。 同一人物と目された彼らは、複数の作品に登場した理由を想像することで、本来、異なる世界観を持つ個別作品間のつながりがあると定義する。また、作品間の技術的な橋渡し役としても考察される場合がある。その中でも、最も多くの作品でその活動が確認できるのが宮内洋が演じた登場人物である。
取り扱い作品一覧各作品の詳細については、それぞれの項目ないしはシリーズ名の項目を参照。 斜体 で表示された作品は個別の節を設けず、他作品に絡めて語られたのみ。
その他の石ノ森作品
その他の作品 脚注
注釈
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