あの日々
『あの日々』(그날들・クナルドゥル)は、韓国のジュークボックス・ミュージカルである。2013年4月4日、ソウルの大学路ミュージカルセンターのこけら落とし作品として初演された。 概要韓国の代表的なフォークソング歌手である故キム・グァンソクの名曲でつづられた創作ミュージカルである。 本作品のタイトル「あの日々(그날들)」は、そのうちの一曲からつけられている。 公演の際、会場中央の一席をキムのための席とし、肖像画が置かれた。 2015年1月6日には、キムの命日として記念公演イベントが行われた。 青瓦台を舞台に、1992年の出来事と2012年の出来事が交錯して、真相が明らかになっていく構成となっている。 主人公であるジョンハクが、韓中修好20周年の日に起こった事件を追っていくうちに、20年前に起こった事件の真相を知ることとなる。 20年の歳月を経て、ジョンハクの中にあった誤解が解け、過去および現在のわだかまりや苦悩から解放されるストーリーである。 著作権の問題でキムが作詞・作曲した楽曲は未使用である[2]。また、物語に合わせて楽曲に大胆なアレンジを施したため、原曲の趣が失われているものが多い[2]。 あらすじ1992年、青瓦台警護室。「あの日」はそうして始まった。 青瓦台の警護員となった「ジョンハク」は、自分とは違う自由奔放な同期の「ムヨン」と出会う。 新人警護員のなかで最高の人材と目された「ジョンハク」と「ムヨン」は、時にはライバル、時には友人として友情を育んでいく。 韓中修好を前に彼らに与えられた初の任務は、身元の分からない「彼女」を警護すること。 ところが、突然「彼女」が消えた。「ムヨン」も一緒に。 2012年、「あの日」の痕跡が見つかる。 韓中修好20周年記念行事まっただ中の青瓦台。警護部長となった「ジョンハク」に伝えられた緊急事態。 大統領の娘「ハナ」と随行警護員「デシク」が消えた。 まるで20年前の「あの日」のように。 彼らの行方を追う「ジョンハク」の前に、消えた「ムヨン」と「彼女」の痕跡が少しずつ現れ…。 我々が一緒だった「あの日々」 20年の時を越えて、彼らの物語が再び始まる。 主な登場人物
主なキャスト
制作チーム
ミュージカルナンバー
シーン以下は、2014年のパンフレットに記載された内容であり、実際の公演内容とは異なる部分がある。 1幕
2012年、青瓦台で「韓中修好20周年記念音楽会」を準備中の警護部長ジョンハクに、大統領の娘ハナと随行警備員デシクが消えたという知らせが伝えられる。この時、任務を指示するジョンハクに対し運営官は、20年前韓中修好があった日、ジョンハクの親しかった同期ムヨンと彼女が消えたことを思い起こさせる。
1992年、青瓦台警護員たちの訓練場所である演武館。辛い訓練が続くその場所で、26歳のジョンハクとムヨンは初めて対面する。二人は大勢の中で頭角を現し、友人としてライバルとして次第に親しくなる。そんな中、警護室長の特別指示が下される。
ジョンハクとムヨン、彼らに下された任務は、身元がわからない彼女を警護することである。 彼女の部屋の前で、しばし出くわす3人の男女。彼女を再び見るため、ムヨンは彼女の窓の前に駆け出す。
青瓦台図書館で随行警護中のジョンハクとムヨンは、彼女がちょっと席を外した隙に、楽譜が描かれた彼女のノートを発見する。 ノートを見ようとするムヨンと、これを阻止しようとするジョンハクは、幼稚な喧嘩を繰り広げ、彼女は二人の姿を見て笑みを浮かべる。
事件当日の朝、大統領の娘ハナは古い楽譜集を借りようとするが、司書は延滞を理由にこれを断る。司書とハナはいざこざを繰り広げ、頭にきたハナは学校へ向かう。
ハナが通う芸術高等学校の教室。ハナの親友であるスジと賑やかな学生たちの間に、ハナと学生に変装したデシク、サングが一緒に入ってくる。 デシクの過剰な警護のせいでちょっとした騒動が起こり、そのせいで学生たちはハナを嘲笑する。結局ハナは教室を飛び出した。
消えたハナの部屋の中で、警護員たちが集まっている。CCTVにも映っていないハナの行方に疑問を持つジョンハクは、サングがハナに死角を教えてあげたことを知る。窮地に陥ったサングは、ハナの部屋のドアの隙間にある一文を発見する。「ムヨン参上」
彼女の部屋の前で警護中のジョンハクとムヨン。突然、中らから悲鳴が聞こえてくる。飛び込んだ二人の男性の前に、バルコニーの窓に体が半分かかった彼女が見え、そんな彼女の行動を自殺と誤解したムヨンは彼女を責める。しかし、近くの野外で上演されている映画を観るためだったということを知ったムヨンは、彼女のために映画が映る反射板を作ってあげる。映画を一緒に観ながら、彼女が通訳者であることを知る二人の警護員。やがて、二人の男性の間で眠りについた彼女の顔がムヨンに寄りかかる。
眠った彼女とムヨンを残し、水を取りに厨房へ行ったジョンハクは、厨房で酒を飲んでいる運営官と司書、警護員たちに会う。ジョンハクに司書を紹介してあげる運営官。二人をくっつけようとする雰囲気が続く。怒りながら部屋に戻ってきたジョンハクの前に、ムヨンと彼女が妙な姿勢で横たわっている。
ハナの携帯電話を発見し、ジョンハクへ見せるサング。ジョンハクの前で、携帯電話に突然かかってきた電話を平然と切り、ジョンハクに叱られる。そして、サングはハナが消える直前に開かれたコンクールであった出来事をふと思い出す。
記者たちが秘密裏に集まっている。修好会議に通訳で参加した女性が間もなく排除されたという話をしあっている記者たち。 彼らの話をジョンハクとムヨンが偶然聞く。
記者たちが去ったその場所にジョンハクとムヨンがいる。そして、どこかへ急に駆けて行くムヨン。 2012年あの日、部屋の中でハナはスジの交通事故の知らせをクラスメイトから聞かされる。[3] 1992年あの日、ムヨンは図書館に隠れている彼女を発見する。 2012年、家出を決心したハナを追って図書館へ来たデシク。 こうして、4人の男女が20年の間をおいて図書館に集まってくる。 何者かの気配を感じた4人の男女は、図書館の窓を飛び下りる。
ハナとデシクの痕跡を追って図書館に来たジョンハクと警護員たち。 ハナが借りようとして置いていった楽譜集を発見する。 楽譜の中に残されたムヨンと彼女の痕跡を見つけたジョンハクは、過去の記憶を思い出す。 20年前の逃げるムヨンと彼女、現在のハナとデシクの姿が重なり、一発の銃声とともに、修好を祝う最後の花火が炸裂する。 2幕
身元のわからない誰かの葬儀が行われている。消えてしまったムヨンはスパイ容疑を受け、彼と親しかったジョンハクは捜査官たちから厳しい取り調べを受ける。 そして、ジョンハクは自身の手でムヨンのスパイ申告書を作成する。
青瓦台警護員から軍部隊に左遷されたジョンハク。卓越した実力は相変わらずだが、次第に冷淡になっていく。 運営官が訪ねてきて、複雑に絡んだジョンハクの心を読む。ジョンハクは流れる時間の中で傷ついた心を建て直し、再び青瓦台へ復帰する。
ハナの部屋を調査中のジョンハクに、娘スジが訪ねて来る。自分よりハナを庇うジョンハクを見て怒るスジ。 ハナが消えたという話を聞いて驚いたスジは、ふとジョンハクにハナの行方が分かるかもしれないと話す。
山の麓を登るハナとデシクは、自分たちがいる所が20年前発生した謎の爆発事故現場だということを知る。 ハナは近くの土の中に埋まったガラス瓶から楽譜を発見し、楽譜に書かれた暗号を解読しだす。 一方、二人を捜しに出たジョンハクとサングは、スジを前に立たせて山を登る。
ジョンハクが水を取りに行った間、ムヨンと彼女が楽譜を見ている。 楽譜に暗号を作り込む二人。 ジョンハクは司書と一騒動を終えて、部屋に入って来る。 ネズミを発見して驚き、ベッドの上に倒れたムヨンと彼女。その姿をジョンハクが見る。 そして、部屋を出たジョンハクは、警護室長へ職務変更を申し出る。
シャワーを終えた警護員たちの間で何かを書いているムヨン。 ムヨンが恋をしていると怪しむ運営官と警護員たちは、ムヨンを放っていたずらを始める。 そんな折、更衣室に入って来たジョンハクは、ムヨンに冷たく接して出て行ってしまう。
修好式を終えて中国へ発つ準備をしている彼女を訪ねていくムヨン。 二人は窓辺でお互いの愛を確認する。そんな二人を見つめるジョンハク。 そして、ついに修好式の日が近づいてきた。
彼女がまもなく排除されるという話を聞いたジョンハクとムヨン。 彼女を救うために走って行こうとするムヨンと、警護員の立場を掲げるジョンハク。 結局、ムヨンだけが彼女を守るために走って行き、ジョンハクは上部の命令を受け、警護示範団へ合流する。 そして、まもなくムヨンと彼女を捜せという非常命令が下される。
松花粉を集めた青瓦台裏手の哨所の中。銃で撃たれたムヨンと彼女が震えている。 ムヨンは彼女を生かそうと、一人で下りて行かせようとするが、彼女はかたくなに拒否する。 熱いキスとともに、彼女は山を下りて行き、ムヨンはジョンハクへ送る最後の手紙を書く。 そして、ムヨンがライターを点けた瞬間、松花粉とともに哨所が爆発する。
どこからかバイオリンの音が聞こえ、その音を聞いたハナとデシクは、ジョンハクとサング、スジに出会う。 ハナとスジの誤解が解け、ハナはジョンハクへ、ムヨンが残した手紙を読んであげる。 手紙とともにジョンハクは回想に耽る。
山を下りてくるジョンハク、青瓦台はすべてのことが元の場所へ戻ってきた。 韓中修好記念が開かれた会場で、ジョンハクは彼女に20年ぶりに会う。 ムヨンの安否を尋ねる彼女へ、ジョンハクはムヨンが残した手紙を渡す。 そして、ハナとスジの最後の演奏が始まる。 公演記録
受賞歴
脚注
外部リンク
|