前作「GOOD LUCK MY WAY」以来約3ヶ月半ぶりとなるシングルリリースで、L'Arc〜en〜Cielの2011年第2弾シングルとして発表された作品。本作のレコーディングは、2010年9月頃から本格的に制作が開始されたアルバム『BUTTERFLY』の録音作業の期間中に行われている[3][4]。
本作の表題曲「X X X」は、「R&Bとメタルをくっつける[5]」というコンセプトに基づいて、hydeが制作した楽曲となっている。hydeは、今回R&Bとロック/メタルをミックスした楽曲を作ろうと思った背景について「ある意味、ロックへのアンチテーゼというか…最近のロックと言われているものよりも、実はポップスやR&Bのほうがヘヴィだったりロックだったりするなって思うことが多くて。だからそこをあえてミックスしてロックとポップスの両立を目指そうと。言ってしまえばL'Arc〜en〜Cielっていうバンドでどういうカッコいいことができるか、自分の中で考えてプロデュースした感じです[6]」と述べている。また、hydeは本作発売年に受けたインタビューで、ポップスの中にロックを感じることがあると述べている。さらにhydeは、同インタビューの中でモーニング娘。が1999年に発表した楽曲「LOVEマシーン」に触れたうえで、ロックとポップスについて「ロックということに関しては、いろんな角度があるし、個人によって定義が違うと思うから、そういう意味で、すごく広い意味を持ってて、難しいけど…。でも、面白いなぁと思ったのは、もうだいぶ前になるんだけど、モーニング娘。が「LOVEマシーン」をリリースした時、ロックだなと思ったのを覚えてますね。こう…業界をなめた感じもあったし、ものすごく勢いもあった。はみ出してたんですよね。そういう意味では、曲がポップスであっても、ロックを感じる方法ってたくさんあるから、一概になんか…言葉にするのは難しい[7]」と語っている。
なお、この曲は本作発売以降に開催したライヴにおいて、頻繁にセットリストに組み込まれる人気曲の一つとなっており、L'Arc〜en〜Cielの2010年代以降のライヴにおけるスタンダードソングとなっている。ちなみに、2012年に世界10都市で開催したライヴツアー「WORLD TOUR 2012」のマディソン・スクエア・ガーデン公演でもこの曲が披露されている。余談だが、2012年3月27日に米国紙『ニューヨークタイムズ』に同公演のライヴレポートが掲載されているが、そこでポピュラー音楽評論家のジョン・ペアレスは「多くの楽曲がメタリカ、U2、デペッシュ・モードやデヴィッド・ボウイのようなギター・ロックでありながら、"X X X"のダンス・ポップのようなタッチの、アメリカのロックバンドがやらないスタイルの曲もこなしている[8]」と、この曲に触れたうえでバンドの音楽性の多彩さを評している。また、2022年に発表された『1998年から2022年現在までのラルクのオススメ5曲』というレコメンド記事において、執筆者である高橋翔(ex.昆虫キッズ)はこの曲を選曲している[9]。この記事において、高橋は「発端はR&Bを意識した楽曲制作と語っているけど、どう形容していいかわからない、ゴージャスでポップでセクシーなアレンジは、ラルクというブランドの新しい側面を提示した曲になっている[9]」とこの曲にコメントを寄せている。(詳細は楽曲解説の項目を参照)
また、カップリング曲には、2004年発表のシングル「自由への招待」から前作「GOOD LUCK MY WAY」までの作品に収録していた、パートチェンジバンド、P'UNK〜EN〜CIELによるL'Arc〜en〜Cielの楽曲のセルフカバーではなく[10]、L'Arc〜en〜Cielの過去の楽曲をアコースティック・アレンジした"L'Acoustic Version(読み:ラコースティックヴァージョン)"を収録している。アコースティックヴァージョンのプロデュースは、P'UNK〜EN〜CIELのときと同様に、メンバー4人が持ち回りで担当することになっている。ちなみに、当初はtetsuyaが考案した「L'Arc-Un-plugged」というバンド名で音源を制作する予定であったが、Unpluggedが商標化されていたことから、現在の副題に変更されることになった[11]。このアレンジ企画について、kenは「タイトル曲と全く違う世界を見せられるからいいことですよね。作り込んだ形と、素直な面、その両面を見せられるチャンスだと。これはこれで新しいL'Arc〜en〜Cielを感じてもらえるんじゃないかな[12]」と述べている。余談だが、P'UNK〜EN〜CIELの次のカップリング企画として、このアコースティックヴァージョン以外にも、「バンドメンバーがソロ名義もしくは別バンドで発表した楽曲をL'Arc〜en〜Cielでカバーする」という企画をtetsuyaが提案していたが[11]、hydeにより却下されている[11]。
今回のシングル表題曲を決めるにあたり、スタッフは「X X X」ではなく他の楽曲を推薦していたという[6]。ただ、メンバー4人が全員一致でこの曲を推薦したこともあり、シングル化が決定している[6][11]。
作詞・作曲を担当したhydeは本作発売当時に受けたインタビューの中で、このエピソードについて「メンバーがこれをシングルにしたいって言ってくれたのは嬉しかったですね。"お、さすが!わかってるね"って(笑)[6]」と述懐している。また、tetsuyaは「X X X」をシングル表題曲に推薦した理由について「覚えやすいし、メロディアスでキャッチーだし、オトナな曲だなって思いました。スタッフからの評判はそんなに高くなかったんですが、僕はシングルとして十分に成り立つだろうということは最初から思っていましたし、「GOOD LUCK MY WAY」の次にこの曲をリリースするのは良いなと思いましたね[11]」と述べている。
表題曲「X X X」のミュージック・ビデオは、L'Arc〜en〜Ciel自身がディレクターを務めた作品となっている。映像は『旧約聖書』における「楽園追放」をテーマとした内容となっている。
なお、今回のミュージック・ビデオ撮影、そしてジャケットのアートワーク制作には、作詞・作曲を手掛けたhydeの意見が多く反映されているという[15]。hydeは2012年に自身が発表した自叙伝の中で、今回のミュージックビデオ及びジャケットの制作を振り返り「「X X X」のジャケットは、俺が考えたんだ。あれはメンバーの顔が揃ってるけど、アーティスト写真とジャケットを同じにする事でイメージの統一を目指したんだ。ミュージック・クリップから何から全部、戦略を立ててやったからね[15]」と綴っている。
なお、hydeはこの曲に対する思い入れがとても強かったようで、メロディの違うバージョンを50パターンほど作ったという[22]。また、hydeは歌録りを終えたあと、自身の歌唱に「やっぱり倍音が足りない[6]」と納得ができず、録音し直している[6]。さらにhydeは、一度出来上がったミックスにも納得ができず、マスタリングをやり直すことにしたと述べている[6]。このように仕上がりにこだわった結果、hyde曰く、アレンジ作業に約5ヶ月ほどかかってしまったという[23]。この曲の制作を振り返り、hydeは「2回目(のミックス)も結構びっちりやりましたからね。ホンット苦労しました。"どうしたらいいだろう?"って悩むこともすごく多かったけど、kenが親身に相談役になってくれたり、yukihiroからは"この打ち込み具合はなくさないほうがいいと思うよ"って意見をもらったり。俺も変に生っぽくしすぎるとこの曲の良さが活きないと思ってたから、そこは意識して死守しました。tetsuyaも折々でアイデアをくれたし、何より最初に"この曲がいいな"って言ってくれたのはtetsuyaなんで、そういう意味では案外L'Arc〜en〜Cielの意見が飛び交った曲ですね[6]」「"他の曲作るのはもう、ええわ。この曲だけめっちゃカッコ良くしたろ"思って、この曲だけをずっとアレンジしまくってました[22]」と述べている。結果、2010年9月から本格的なアルバムレコーディングが行われたアルバム『BUTTERFLY』において、hyde単独で作曲クレジットがついた音源は、既発曲を除くと、この曲だけが収録されることになった。ちなみに、yukihiroは「アルバム『BUTTERFLY』のレコーディングで刺激になった曲」としてこの曲をあげている[24]。また、yukihiroは、この曲を含めたhyde作曲の楽曲の印象について「hydeの曲って、僕はどこでもサビに聴こえるんですよ。特に最近の曲はそういう印象なんですよね。今回の曲(「X X X」)も、普通に考えれば<Feel〜>のところがサビなんだろうけど、頭のメロディがサビと捉えることもできるし。もちろん"ここがサビです"っていうのがあって然るべきなんだろうけど、僕個人としては"どこがサビでもいいんじゃないかな"って思ってて。それはもう、聴く人が判断すればいいんじゃないかな[20]」と述べている。なお、yukihiroは「アルバム『BUTTERFLY』のレコーディングで刺激になった曲」として「X X X」をあげている[24]。
さらにhydeは、この曲をレコーディングする際は、フェミニンなイメージで歌録りをしたという。hydeはアルバム発売時に受けたインタビューで、自身のボーカルワークについて「そのキャラになりきってるというか、その曲を歌うためにはどんな手段でも使う。今はなんかもう、それを振り切ってやってる感じですよね。(中略)「X X X」なんか、本当は女の子が歌った方が可愛かったりすると思うから、自分の歌い方もちょっとフェミニンな感じになってしまうけど、今はそうやって割り切ってる分、もっと突っ込んでいける[25]」と述べている。
余談だが、「X」はローマ数字で"10"を表しているため、「X X X」はキスマークであるとともに"30"も意味している。hydeはこのことも考えてタイトルを決めたようで、本作発売当時のインタビューにおいて「言ってしまえば30周年に向けて、っていう意味もありますよ。こじつけっちゃこじつけかもしれないけど、一応そういうことも思ってました。ただ、僕にとっては未来というより"現在のL'Arc〜en〜Ciel"をいかにカッコよくさせるかがテーマで。どうしてもシングルは明るい曲になりがちなんで、そこじゃないところで勝負したいなとは思ってました[6]」と述べている。
ちなみに、フィジカル発売翌年の2012年5月23日には、この曲の全英語詞バージョン「X X X -English version-」が配信限定でリリースされている(詳細は配信限定楽曲参照)。