Vampire Survivors
『Vampire Survivors』(ヴァンパイア・サヴァイヴァーズ)は、poncleによって開発および発売されたゲームソフト。 概要itch.ioにて2021年10月末に公開され、その後2021年12月17日にPC(Steam)にて早期アクセスでリリースされた[1]。2022年以降ストリーミングによる拡散を受けた。2022年10月21日に正式リリースされた[2][3]。 正式リリース版リリースから2週間後には家庭用ゲーム機版を発売すると発表し[4]、2022年11月10日にXbox One、Xbox Series X/S版がXbox Game Passに対応しリリースされ[5]、同日にPC(Microsoft Store)にも発売された。2022年12月9日にはスマートフォン(iOS/Android)版も配信された[6]。2023年8月17日にはNintendo Switch版[7]、2024年8月29日にはPlayStation 5版、PlayStation 4版が発売された[8]。 シンプルでわかりやすいゲームシステムや、繰り返し遊びたくなるリプレイ性、価格設定の安さから、Steamでは98%以上のユーザーがおすすめとし「圧倒的に好評」の評価を得た。Vampire SurvivorsはMagicSurvival(後述)というゲームの影響を受けているが、本作自体が大ヒットしたことでひとつのジャンルとして確立され、本作に類似したシステムを持つフォロワー作品も生み出された[9]。 Vampire Survivorsというタイトルに反して、ゲームには吸血鬼が登場せず、ステージクリアした際も死神に倒されて終了するため生き延びることができないが、これらのことは開発元のponcleも認識しており、SNSでのネタにすることがある。また、ゲーム内に登場するキャラクターや装備などは、悪魔城ドラキュラシリーズ(コナミデジタルエンタテインメント)の影響を受けているものもある[10]。 ルールプレイヤーは、いくつかのプレイアブルキャラクターの中から1体と、挑戦するステージを選択しゲームを開始する。プレイヤーの目標は周囲から迫ってくるモンスターを倒しながら、30分間生き残ることである。プレイアブルキャラクターの操作は移動のみで、攻撃は所持する武器に応じて自動的に行われる。 ステージは見下ろし型で、常にプレイヤーを中心として表示される[注釈 1]。一部のステージには上下ないし左右に壁が設置されているが、基本的にはプレイヤーは行き止まることなくどこまでも移動できる。 モンスターを倒しつつステージを探索することで、レベルアップに使用するEXPジェムや、体力を回復させるトリ肉などの役立つドロップアイテムを集められる。EXPジェムを集めると経験値が上がり、一定の経験値に達するとレベルが上がる。レベルが上がるたびに、ランダムで3つないし4つ提示される装備(武器・アイテム)の中から1つ選択し、新規入手する。すでにその装備を所持している場合は、装備が1段階レベルアップする。プレイヤーは同時に6つの武器と、6つのアイテムを持つことができる[注釈 2]。 強力なモンスターを倒すと、チェスト(宝箱)をドロップする。チェストを開くことによっても、1つ(まれに3つ、または5つ)の武器またはアイテムをランダムでレベルアップすることができる。レベルアップした武器は、チェストが開かれたときの条件次第で、さらなる強力な武器へと進化、または統合する。 モンスターに接触するとプレイヤーの体力が減り、体力がすべて無くなるとゲームオーバーになる。ゲームオーバーになると装備はすべてリセットされる。ただし、ゲーム中に獲得したコイン[注釈 3]は引き継がれ、プレイアブルキャラクターの開放やパワーアップに使用できる。 ステージには30分の制限時間がある。時間が経過するごとに、襲来するモンスターはより強力になり数も増える。制限時間を経過するとゲームとしてはクリア判定になり、ステージからすべての敵が消される。同時に、 Red Deathという名前の最後の敵が出現する。Red Deathは非常に強力で倒すのが難しいだけでなく[注釈 4]、プレイヤーを確実に倒すために、1分ごとに1体ずつ追加される。Red Deathを倒した場合、絶対に倒せない無敵のWhite Deathが出現する[注釈 5]。 ゲームにはアチーブメントと呼ばれる目標が多数設定されており[注釈 6]、アチーブメントを達成することでゲーム中に登場する武器やアイテム、プレイアブルキャラクター、ステージなどを増やすことができる。獲得したプレイアブルキャラクターを使用可能にするためにはコインを支払う必要がある。また、タイトル画面の「パワーアップ」の項目にてコインを消費することで、恒久的にプレイアブルキャラクターを強化した状態でのプレイもできる[注釈 7]。 早期アクセスのリリース以降、新しいキャラクター、武器、ステージ、ゲームシステムなどがアップデートとして順次盛り込まれている。追加されたシステムとして、レベルアップ時の装備の提示内容に干渉する「リロール」「スキップ」「バニッシュ」[注釈 8]や、ゲーム内の時間の進み方を倍速にして難度を上げる「ハリーモード」[11]、ゲーム開始時および一定時間経過後にプレイヤーに強力な効果を付加する「アルカナ」などがある[12]。 プレイアブルキャラクター多数のプレイアブルキャラクターが登場するため、一部のみ記載する。プレイアブルキャラクターの名前、そのプレイアブルキャラクターの初期武器の順番で記載する。プレイヤーは、このうち1体を選ぶ。プレイアブルキャラクターごとに初期状態で所持する武器が異なるほか、「敵への与ダメージが増えやすい」「EXPジェムを獲得した際の経験値が上がりやすい」などのキャラクター固有のボーナスがある。「アントニオ ベルペーゼ」のみ最初から使えるが、他のプレイアブルキャラクターは条件を満たした状態でコインを消費することにより使えるようになる。
装備装備には武器とアイテムがある。装備はレベルアップさせることができ、レベルアップすると装備の効果が強くなる。装備の最大レベルは装備によって異なる。特定の武器を最大レベルにし、各武器に対応したアイテムを所持した状態でチェスト(宝箱)を取ると、武器が進化することがある[注釈 9]。 多数の装備が登場するため、一部のみ記載する。名称は、正式リリース版の日本語環境に準拠する。 武器
アイテム
ステージプレイヤーは、下記の中からステージを選択できる。最初は「狂乱の森」しかないため、ステージ選択をせずに強制的にそのステージでのプレイとなるが、アチーブメントの達成により選択できるステージが増えたり、難度の高い「ハイパーモード」や「反転モード」に挑戦できたりする。「マグナ礼拝堂」までの5ステージが基本的なステージで、「地図に無い場所」以降のステージはボーナスステージないしチャレンジステージと称される特別なステージである。特別ステージには、制限時間が15分ないし20分に短縮されるものもある。また、下記に示したステージ以外にも、アチーブメントの達成状況に応じて一時的にプレイできるステージがある。
ダウンロードコンテンツダウンロードコンテンツはどの機種でも全て有料である。ダウンロードコンテンツを購入すると、選択できるステージや特定の条件を満たすことで使えるプレイアブルキャラクター、装備が増える。
開発個人開発者のルカ・ガランテは、 ウルティマオンラインサーバーの管理者としての過去の経験に基づいて、コミュニティを管理したかったためにVampireSurvivorsを作成したと説明した。このゲームは、キャラクターが自動的に敵を攻撃するモバイルゲームであるMagicSurvival[18]に触発され制作された。初期の早期アクセスバージョンの開発には約1年かかり、アセット、アート、音楽に日本円で約17万円を費やした[19]。 ガランテは、かつてオンラインカジノ向けのソフトウェア開発をしており[1]、ゲーム内のデザインやサウンドはカジノを連想させることを意図したという[20]。 失業中の2020年12月にゲームの制作を始めたガランテは、2022年1月に新しい仕事に就いたものの[20]、ゲームの成功がガランテの期待を上回ったため同年2月に仕事を辞め、ゲームの開発に完全に注力できた。予定されているコンテンツには、追加の武器、キャラクター、ステージが含まれており、「エンドレスモード」も検討されていた。ガランテは、2022年の年末までにVampire Survivorsを早期アクセスから製品版へと移行することを目標とした[21]。 2022年3月24日、ガランテはVampire Survivorsの開発チームを拡大するために複数のフリーランスのスタッフを雇い、開発のペースが加速していると発表した。ガランテは予定されている新コンテンツの範囲をロードマップで概説するとともに、2022年夏に予定されている大きなマイルストーンとして、本作品を「業界標準」のゲームエンジンに移植し全体的なパフォーマンスを向上させると説明した[22]。 2022年9月30日、開発元のponcleは正式リリース日を同年10月20日と発表した。早期アクセス版のセーブデータは正式リリース版でも利用できる。新エンジンへの移行は同年の年末になる見込みとした[23]。 2022年10月21日、poncleはVampire Survivorsを正式リリースした。正式リリース版ではゲームバランスやユーザーインターフェースが調整され、新武器、新ステージ、前述の「エンドレスモード」を含む新システムも導入された。また、配信プラットフォームであるTwitchとの連動機能も追加された。本作品へのサポートは今後も続けられ、QoL面での改善や、新エンジンへの移植、新要素についても開発中としている[2]。 PoncleはPC版、Xbox版のVampire Survivorsの大成功を受けてスマートフォン版のリリースを検討したが、「収益化について(過剰な課金などで)ユーザーを食い物にしない」というガランテの考えに賛同する企業が見つからなかった。さらに、モバイル向けストアにVampire Survivorsのデータなどをコピーした無許可のゲームが出回り始め、Poncleは早急にスマートフォン版をリリースせざるを得なくなった[24]。 スマートフォン版のVampire Survivorsは2022年12月9日にリリースしたが、早急なリリースのため一部機能が省略された。今後は大量のバグ修正や省略した機能の実装を検討しているが、バックエンドエンジニアがいないため予想以上の時間がかかる恐れがあるとしている。スマートフォン版は基本プレイが無料となっており、広告を視聴してコインの獲得やキャラクターの復活を行うことができる。また、スマートフォン版でもダウンロードコンテンツが配信されている[24]。 2023年7月18日、Vampire Survivorsがどのようにして生まれたのかを紹介する動画「メイキング・オブ・ヴァンパイア・サバイバーズ - ドキュメンタリー」が公開された[7]。 2023年8月17日のNintendo Switch版のリリースに合わせ、各機種版で「Co-opモード」という最大4人までのローカル協力モードが追加された。また、PC版においては全面的に新エンジンの採用に踏み切った [7]。 評価本作はリリース直後には2桁のSteam同時接続者数を得るに留まっていたものの、2022年1月下旬、Steamで30,000人を超える同時プレイヤーに到達した[19][25]。同時プレイヤー数は翌月も増え続け、2月20日には、77,061人の同時プレイヤー数でピークに達した[26]。 2022年1月にSNSやストリーミングによる評価の拡散が起こり、これにより人気が爆発した。 ビデオゲームジャーナリズム「Kotaku」のイアン・ウォーカーと、同じく「Rock, Paper, Shotgun」のグラハム・スミスは、共にこのゲームの面白さをドーパミンに例えて賞賛した[27][28]。「Polygon」のニコル・カーペンターは、「私が見た中で完全に同じプレイをしたストリーマーはいない」とゲームの奥深さを指摘した[29]。 脚注脚注
出典
外部リンク |