GAUZE (バンド)
GAUZE(ガーゼ)は、日本のハードコア・パンクバンドである。1981年9月結成。2022年11月解散[1]。自主企画「消毒GIG」をはじめとするライブを中心とした音楽活動は、1990年代以降まで日本のパンクバンドの活動スタイルに大きな影響を与えた。1980年代半ばにはサンフランシスコのファンジン、『マクシマム・ロックンロール』を通じて国外のパンクシーンにも紹介され、日本独自のハードコア・サウンドを代表するバンドの一つとして知られるようになる。公式アルバムは6枚と、40年以上に及ぶキャリアに比して少ないが、いずれもロングセラーを続けている。 解散時メンバー
元メンバー
経歴ベースのシンが1980年秋に元あぶらだこのイズミらと結成したバンド「チフス」は、ギターのタムの参加後、1981年に自主企画「法定伝染GIG」シリーズを開始し、ザ・スターリンらとライブ活動を行うが、メンバーの音楽的方向性の違いから当時ボーカルを務めていたイズミが脱退。2代目ボーカルの田波ケンが加入するが結局メンバーが固定しないまま1981年7月に解散する。 シンはモモリンとGAUZEを結成してUKハードコア・スタイルを志向、1981年11月1日に消毒GIG Vol.1でライブ活動を開始。フグが加入する前はザジ(ソドムVo)が初代ボーカルだったことがBURST Vol.20の「ADK」同窓座談会に書かれている。 最初の音源リリースはパンク・ニューウェイヴ専門誌『Doll』が運営するCITY ROCKER RECORDSからの2枚のオムニバス・アルバム。1982年5月に発表のオムニバス『CITY ROCKERS』ではニュー・ウェイヴ色の強いバンドである、ISOLATION/RADICAL/NURSERY RHYMEとの組合せであったが、1983年のライブ・オムニバス『OUTSIDER』では、G.I.S.M.、THE COMES、LAUGHIN' NOSEとの4バンドでHARD "METAL" COREサイドを構成。1980年代前半からメタルの要素を色濃く取り入れた日本独自のハードコアの展開を予見する音源となった。CITY ROCKER RECORDSは新たにハードコア専門のドグマ・レコードを設立しG.I.S.M.とTHE COMESのアルバムをリリースするが、GAUZEはこのレーベルからの音源は出していない。 バークレーのカレッジラジオ局のパンク番組『マクシマム・ロックンロール』(MRR)が1982年に創刊した同名誌は、全米の他、世界各地のパンクシーン紹介とその音源レビューのコーナーを通じて世界のハードコア・シーンに影響力を持つ様になった。日本のハードコア・シーンも1983年12月から、当初は『Doll』等への取材から始まり、東京のバンドで活動していたロジャー・アームストロング(Roger Armstrong)[2]のレポートにより、コンスタントに紹介されるようになった。よりメタル色の強いG.I.S.M.やエクセキュート[3]がまず注目されるが、1985年7月、タム[4]の個人レーベルADKレコードからリリースされたGAUZE1stアルバム『FUCK HEADS』や1986年3月のSelfish Records[5]からの2ndアルバム『EQUALIZING DISTORT』も、MRR代表のティム・ヨハナン(Tim Yohannan)、パンク・アーティストのパスヘッド (Pushead)[6]などのレビュアーから好意的に評される[7]。 GAUZEの2ndアルバム『EQUALIZING DISTORT』を皮切りにリリースされた諸作品により、Selfish Recordsは日本のハードコア・パンクを代表するレーベルとして知名度を上げた。[8]GAUZE、Lip Cream(元THE COMES)、OUTO、GASTUNK、GHOUL、エクセキュートとのコンピレーション・アルバム『A FAREWELL TO ARMS』はドイツのNuclear Blast Recordsが翌年再リリース。Lip Cream、SYSTEMATIC DEATH、OUTOとのコンピレーション・アルバム『THRASH TIL DEATH』はパスヘッドの自主レーベル[9]との共同リリースとなり、パスヘッドは、スケートボード誌『スラッシャー』の担当コラムで『THRASH TIL DEATH』を紹介した[10]。 1989年にはイギリスでカオスUKとヨーロッパツアーを行い、そのライブ音源が翌年の1990年にリリースされたサードアルバム『限界は何処だ』のCD/LPに「ライブ・イン・スコットランド」として収録(LPの場合A面がスタジオ収録、B面がライブ録音)。アメリカ・ツアーは、MRRレビュアーだったケン・サンダーソン (Ken Sanderson) が設立したレーベル、プランク・レコード(Prank Records)の一周年企画として1996年に実現した。 1997年4月1日に4thアルバム『面を洗って出直して来い』のリリースに加え廃盤となっていた先行の3枚のアルバムがXXXレコードからデジタルリマスターされ再発。その4作のCDには各アルバムジャケットを小さくリサイズしたステッカーが封入。これらの自主制作盤の音源は10年以上に渡りプレミアム無しで入手できる程に流通している。1980年代から2000年代に至るまで、ストップ・アンド・ゴーのメリハリを基調とする初期ハードコア・パンクの原型を離れること無く追求したGAUZE独自の速くて重いサウンドが一貫している。同時に英語を含む歌詞は極端に減ってきており、近作のアルバムに収録されている曲では完全に日本語の歌詞となっている。 1990年代途中から、ギターとベースはキーを一つ下げたダウン・チューニングの状態で曲が作曲・演奏されるようになったのに伴い、3rdアルバムまでの曲は原曲に比べてキーを一つ下げた状態で演奏されている。アメリカ・ツアーの際に録音された7インチEPでも同様になっている。 2007年12月5日に発売された10年振り5thアルバム『貧乏ゆすりのリズムに乗って』が歌詞カードがブックレットとなり読みやすい大きな活字となったことを除けば(前4作はLPジャケットサイズに合わせ歌詞をライナーノーツに印字していた為、CDになるとフォントがリサイズされ、かなり小さかった)先行作品からスタイルの点で目立った変化は無い。 2010年5月23日の公式サイトの発表によるとメンバーの病気の為、大阪単独GIGは急遽中止になり、それと共にメンバーの病気が回復する迄、活動を休止する事が発表。メンバーの病気回復に伴い、2010年9月9日に公式サイトが更新、GAUZE復活を意味するライブ日程が発表された。 2020年10月24日に新宿K's cinemaでthe 原爆オナニーズの「JUST ANOTHER」公開。GAUZEは消毒GIG Vol.173(2019/08/31 at 新宿ANTIKNOCK)の時の「栄枯盛衰」を提供。 2020年12月29日にプロバイダGYAO!Webスペースサービス提供終了に付き2021年1月28日15時を以て公式サイトが表示出来なくなる事を発表の上、閉鎖後はTwitterにて情報発信予定していく旨が公式サイトで発表。2021年1月12日にGAUZE OfficialとしてTwitterで発信開始。 2022年11月26日、新宿ANTIKNOCKに於いて告知は一切無し、完全招待者のみのラストライブを開催。解散の理由はVoのFUGUが体調不良(関節リウマチ発症)で、シンがこれ以上GAUZEを続けるのは無理と判断したからである。当ラストライブを以てGAUZEは41年の長い歴史に幕を降ろした。翌27日の0時にGAUZEの解散をTwitterで発表した。 ライブ活動消毒GIGは、GAUZEの音楽活動の基盤となるハードコア・ライブの自主企画である。同じ価値観を共有するバンドの音楽イベントであり、若手のバンドが出演する場合でもメインと前座といった関係ではない。つまり、消毒GIGであってもGAUZEが最後に出演、という決まりは無く、最初に出演する場合もたまにあり、同じバンドが繰り返し出演することもしばしばある。1980年代の後半は、メタル色強めのDEATH SIDE、USハードコアの影響の強いLip Creamや横浜のSYSTEMATIC DEATH(2008年2月から再結成)、大阪のS.O.BやOUTO等、1990年代はアメリカにも同行したASSFORTが頻繁に消毒GIGに出演した。同じくベテラン・ハードコアバンドである名古屋のThe 原爆オナニーズは1990年代後半以降にしばしば出演している。 特別のイベントとしては、8週年、10周年、12周年、Vol.100、20周年(名古屋、大阪、東京)、2007年の年末に発売された「貧乏ゆすりのリズムに乗って」に合わせたVol.142、2010年のVol.151、大阪といった単独GIG(2010/05/23のオフィシャルの発表に依るとメンバーの病気の為、大阪単独は急遽中止になり、それと共にメンバーの病気が回復する迄、活動を休止する事がオフィシャルで発表された。そして活動再開後2011/08/20に再度Vol.154としてGIGが敢行された)、2019年の消毒GIG Vol.174、消毒GIG Vol.175や、全国から多数のバンドが出演した1986年の消毒GIG 3 Days全国ハードコアパンク選抜大会[11]等がある。1980年代には「消毒ツアー」も行なわれたが、長期に亘るものはない。単発の場合は東京以外でのライブも消毒GIGである。消毒GIG以外は、他のバンドやライブハウス等の自主企画ライブにも参加している。 マスコミ媒体への露出が非常に少ないバンドであるが、DISCHARGEの来日公演(1991年)にはフロントアクトとして出演した際はノーカットでスペースシャワーTVで放送され、2002年開催のThe 原爆オナニーズの20周年ファイナル時は、一緒に出演したGAUZEのライブ映像の一部がMUSIC ON! TVで放映。来日外国バンドとは、カオスUKの1985年、1998年2回の共演のほか、1990年代以降では再結成後のディスチャージ・1991年、アメリカのセブン・セカンズ(7 Seconds)・1997年、カナダのD.O.A.・2001年などのベテランと共演している。 GAUZEのライブを基盤とする音楽活動は、レコードの発売に合わせてライブやツアーを行ないメディアに露出して発言するようなメジャー・インディーズを問わず一般的なバンドの活動スタイルとは一線を画している。1980年代後半のインディーズ・ブーム期には、同じパンクシーン出身のLAUGHIN' NOSEらいわゆるインディーズ御三家に距離を置き、自らをハードコアと規定するバンドが目立ったが、「インディーズ」がレコード・リリースを当然の前提としての分類であることへの違和感の表明とも見ることが出来る。但し、ライブ告知以外の情報提供が少なく、ライブ会場での暴力の様な噂ばかりが伝えられる事に依り、音楽自体の持つ攻撃性と相俟ってハードコア・シーン全体に近寄り難いイメージが存在したことも事実であり、この事が「閉鎖性」と批判的に表現される場合もある。しかし、実際はGAUZEのライブ会場での暴力沙汰はまず起こらない。それはライブ告知をしている媒体や場所が限られている(告知はTwitter・THE JAP HARDCOREPUNK HOMEPAGEが確認されている)ので、暴れることが目的のミーハーな客が来にくいということ、客の年齢層が10代から60代と多岐に渡っており、年長者からライブに於けるマナーが伝播しているものと考えられる。 ディスコグラフィーシングル・アルバム
2017/11/29に今迄限定で発売されて廃盤となっていた「FUCK HEADS」「EQUALIZING DISTORT」「限界は何処だ」「面を洗って出直して来い」「貧乏ゆすりのリズムに乗って」のLPがXXX RECORDSよりカラーVINYL LPとして再発予定のアナウンスが各レコードショップより発表された。 しかし、印刷の不備が発売前の2017/11/27に判明し、2017/12/20に発売が延期された。そして、2017/12/20に正式発売されたがRecord Shopでは前日にフライング販売を行う所が非常に多かった。LPは、全種類赤のカラーVINAL仕様。
2021/07/06 21時にTwitter上でGAUZEの新譜「言いたかねえけど目糞鼻糞」が2021/07/22に発売される事がツイートされた。発売元はXXX Records。 尚、アナログ盤は2021年秋を予定していたが、2022/01/05 21時にTwitter上で2022/02/16に発売される事がアナウンスされた。
ライブでのみ披露された楽曲(スタジオ音源未発表)
例を挙げると「残ったものはベッドの髪の毛」=ABSINTH TRIP、「ほら象さん、頑張って」=エッサホイサッサ)
ビデオ・映画
関連項目脚注
文献
外部リンク
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