特別警備隊 (海上自衛隊)

特別警備隊
RIMPAC 2018に参加した特別警備隊の隊員
創設 2001年平成13年)3月27日
所属政体 日本の旗 日本
所属組織 海上自衛隊
部隊編制単位
兵種/任務 特殊部隊
臨検潜水エアボーンヘリボーン野戦ゲリラ・コマンド水陸両用作戦対テロ特殊作戦
人員 約90名[1]
所在地 広島県江田島市
編成地 江田島
愛称 特警隊
SBU
上級単位 自衛艦隊
戦歴
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特別警備隊(とくべつけいびたい、:JMSDF Special Boarding Unit:SBU)は、2001年に創隊された海上自衛隊特殊部隊で、全自衛隊初の特殊部隊として創設された部隊でもある。本部は広島県江田島市の海上自衛隊江田島地区。自衛艦隊の直轄部隊である。海上自衛隊内部では、特警隊と呼ばれている[2]英称の「Special Boarding Unit」から、SBUと表記されることもある。

任務

隠密上陸を訓練する海上自衛隊員 カリフォルニア州(2013年)

能登半島沖不審船事件の教訓を基に2001年3月にアメリカ海軍のNavy SEALsをモデルにした特殊部隊として創設された部隊で、海上警備行動発令時におけるヘリコプターや高速ボートによる不審船への移乗強襲潜水による水中浸透の訓練、空挺降下の訓練や野戦等の地上戦の訓練なども行っている。状況により護衛艦搭載哨戒ヘリコプターSH-60JSH-60Kを使用する場合もある。MCH-101では1機あたり1個小隊16〜24名が搭乗し、ラペリングまたはファストロープにより対象船舶に対する強襲降下が可能である。

教育

特別警備課程は年に一度、募集要項が海自全部隊に通達され、職種に関わらず応募できる。応募に際しては、原則として3等海曹以上、30歳未満の隊員が対象。射撃能力、運動能力、水泳能力に優れていること等が要件とされる。特別警備課程において海士長の学生も存在する。水中処分隊の爆発物処理員(EOD)陸警隊出身者が比較的多いが、警務官(警務隊員)から航空機操縦士降下救助員・整備員などさまざまな職種から選抜されている。部隊創設時にはイギリス海兵隊特殊舟艇部隊(SBS)から教官を招聘し、訓練を受けた。

部隊編成

部隊人員数は2015年の時点で約90名である[1]

  • 隊本部(総務班・運用班・作戦資材班・医務班):医務班は医官2名、衛生員2名で編成されており、高規格救急車も配備されている。
    • 第1小隊 - (1個小隊内(小隊長除く18名)に2個班(1個班9名)がある)
    • 第2小隊
    • 第3小隊
    • 第4小隊[3]

主要幹部

職名 階級 氏名 補職発令日 前職
特別警備隊長 1等海佐 渡邊渉 2023年10月2日 第31整備補給隊副長
歴代の特別警備隊長(1等海佐
氏名 在任期間 出身校・期 前職 後職
01 山口 透 2001.03.27 - 2003.03.26 防大22期 海上自衛隊第1術科学校 海上幕僚監部防衛部運用課長
02 中村雅樹 2003.03.27 - 2006.03.26 防大26期 海上自衛隊第1術科学校付 海上訓練指導隊群司令部
→2006.4.3 第1護衛隊司令
03 畠野俊一 2006.03.27 - 2008.03.25 防大28期 第5航空隊司令 海上幕僚監部総務部総務課広報室長
04 熊谷公夫 2008.03.26 - 2008.12.16 早大
36期幹候
第1航空隊副長 呉地方総監部付
05 畠野俊一 2008.12.17 - 2010.03.22 防大28期 海上幕僚監部総務部総務課広報室長 海上幕僚監部人事教育部付
→2010.4.1 同厚生課長
06 保科俊朗 2010.03.23 - 2013.07.31 防大35期 海上幕僚監部人事教育部補任課 海上自衛隊幹部学校
07 栁 信男 2013.08.01 - 2014.07.31 日体大
38期幹候
くにさき運用長 兼副長
兼 エアクッション艇運用整備長
第1輸送隊
→2014.8.5 しもきた艦長
08 小関昌彦 2014.08.01 - 2017.07.31 防大39期 海上自衛隊幹部学校付 海上幕僚監部人事教育部
人事計画課制度班長
09 德留秀和 2017.08.01 - 2019.07.31 早大・
49期幹候
海上幕僚監部人事教育部人事計画課 海上自衛隊幹部学校付
10 坂前信博 2019.08.01 - 2021.09.09 防大43期 海上自衛隊第1術科学校 海上幕僚監部人事教育部教育課勤務
11 黒木一博 2021.09.10 - 2023.10.01 防大34期 自衛艦隊司令部
兼 海上自衛隊第1術科学校
海上自衛隊幹部学校勤務
12 渡邊 渉 2023.10.02 - 第31整備補給隊副長

関連年表

環太平洋合同演習(RIMPAC)2022にてインド海軍等と訓練中の特別警備隊

装備

個人被服・装具

RIMPAC 2022にて、海上自衛隊特別警備隊が迷彩服3型を着用していることが確認できる。
特別警備隊がマルチカム迷彩を使用していることが判明している。
特別警備隊隊員が迷彩服3型と同様のデザインのコンバットシャツを着用している。[21]

自動小銃

自動小銃の名称でHK416A2を導入。附属品としてAimpoint CompM4とROTEX-Ⅲ減音器が各1個附属する。[22][23][24][25]
折曲銃床式。任務の特性上、小回りが利く折曲銃床式が適しているからだと考えられる。

短機関銃・機関拳銃

試験用機関けん銃及び試験用9mm普通弾(MPX)が防衛装備庁で調達されている。[26]

拳銃

狙撃銃

防衛省海上自衛隊の公式Xに2024年12月4日に投稿されたポストにおいてDSPE派遣中のSH-60Kの機内にSBUが持ち込んでいることが確認された[誰によって?][要出典]

その他


服装

特別警備隊員は、任務の特殊性故に独自の装備品が支給されている。海上自衛官服装細則(昭和40年12月25日海上自衛隊達第90号)第5条、第5条の4、第5条の5、第17条の6、第21条の2、別表第2の20によれば、特別警備服装(顔面覆又は作業准海尉以上は冬略帽)若しくは立入検査帽、特別警備服、特別警備服上衣、特別警備手袋、特別警備、特別警備き章、略章)がその着用品とされている。立入検査帽についてはプレスオープンされた立入検査隊の訓練で形状や色調は明らかにされている。特別警備隊の徽章はコウモリサソリを配したデザインである[27]

特別警備隊員徽章

特別警備服装

  • 顔面覆か作業帽
  • 立入検査帽
  • 特別警備服
  • 特別警備服上衣
  • 特別警備手袋
  • 特別警備靴
  • 特別警備き章
  • 略章
横から見た特別警備隊の服装

登場作品

  • 高貫布士 『テロ・クルーズ~血塗られた航海~』 2007年の小説
  • 門田泰明 『続存亡』 2009年の小説。
  • 麻生幾  『奪還』  2010年の小説。主人公のモデルは特別警備隊の創設に携わり、先任小隊長も務めた伊藤祐靖である[28]
  • 伊藤祐靖 『邦人奪還』 2020年の小説。特別警備隊が、クーデターが発生した北朝鮮へ拉致被害者を救出しに出撃する。

脚注

  1. ^ a b 自衛隊の部隊編成に関する質問に対する答弁書:第189国会”. 参議院. 2020年6月28日閲覧。
  2. ^ 海上自衛隊の部内相互間において使用する文書の略語の 定義に関する達昭和29年海上自衛隊達第27号
  3. ^ 「特別警備隊の編制に関する訓令」によると、本部および4個小隊となっている[1]
  4. ^ 麻生幾 『作家 麻生幾が緊急告発』「週刊文春」11月2日号、文芸春秋社、2006年。
  5. ^ 海上自衛隊特殊部隊の能力を、お世辞を言わない米軍がホメた”. SAPIO. 2010年12月5日閲覧。
  6. ^ 伊勢志摩サミット、街中が2万人の警官だらけの裏で、市街戦や航空機撃墜も想定されていた!
  7. ^ 派遣海賊対処行動水上部隊による遭難船舶への対応について”. 統合幕僚監部. 2020年6月28日閲覧。
  8. ^ Multinational SOF Teams Participate in Range Training During RIMPAC” (英語). DVIDS. 2020年6月28日閲覧。
  9. ^ 日仏がジブチで海上共同訓練を実施”. La France au Japon. 2020年6月28日閲覧。
  10. ^ a b 日米印豪共同訓練(マラバール2021)について 
  11. ^ RIMPAC2022:U.S. Army, Japanese, German Special Operations Forces conduct Live-fire training” (英語). DVIDS. 2022年6月30日閲覧。
  12. ^ Multinational Special Operations Forces, including our 1st SFG(A) Green Berets conduct VBSS Training during#RIMPAC2022” (英語). Facebook. 2022年7月3日閲覧。
  13. ^ Special Operations Forces” (英語). Twitter. 2022年7月2日閲覧。
  14. ^ RIMPAC 2022: US Army, German, Indian SOF train together [Image 1 of 6]” (英語). DVIDS. 2022年7月22日閲覧。
  15. ^ RIMPAC 2022: U.S. Army conducts training with multi-national partners [Image 3 of 7]” (英語). DVIDS. 2022年7月22日閲覧。
  16. ^ #SOFinPacific and Republic of Korea #specialforces conduct helicopter cast and Military Operations on Urban Terrain training at Bellows Air Force Station during Rim of the Pacific (RIMPAC) 2022.” (英語). Facebook. 2022年7月28日閲覧。
  17. ^ Malabar 2022 [Image 1 of 7 221107-N-AC117-1044 YOKOSUKA, Japan (Nov. 7, 2022) – Sailors with U.S. Naval Special Warfare, the Japan Maritime Self-Defense Force Special Boarding Unit and the Indian Navy Marine Commando Force review visit, board, search and seizure procedures before conducting trilateral trainings Nov. 7 as part of Malabar 2022.]]” (英語). DVIDS. 2022年11月7日閲覧。
  18. ^ Sailors with @NSWHQ the @jmsdf_pao_eng Special Boarding Unit and @indiannavy Marine Commando Force review VBSS procedures before conducting trilateral trainings Nov. 7 as part of #Malabar2022.” (英語). Twitter. 2022年11月9日閲覧。
  19. ^ Sailors with Naval Special Warfare Command the Japan Maritime Self-Defense Force Special Boarding Unit and the Indian Navy Marine Commando Force conduct a visit, board, search, and seizure drill Nov. 8 as part of #Malabar2022.” (英語). Facebook. 2022年11月11日閲覧。
  20. ^ 日本放送協会 (2024年4月16日). “海自 特別警備隊をインド太平洋地域に派遣 海上保安機関支援へ | NHK”. NHKニュース. 2024年4月16日閲覧。
  21. ^ (日本語) 【海上自衛隊】特別警備隊 (Special Boarding Unit) 実弾射撃訓練 | 米国、日本、ドイツの特殊部隊が実弾射撃訓練を実施 リムパック2022, https://www.youtube.com/watch?v=KuAjOAFZA0g 2023年4月13日閲覧。 
  22. ^ a b c 『行政文書ファイル:防衛省特別警備隊第2小隊』2010年
  23. ^ 海上自衛隊 特別警備隊』2010年
  24. ^ 『海上自衛隊仕様書 自動小銃 仕様書番号 MKP-J-10262-1』海上幕僚監部装備部武器課、2008年3月26日。 
  25. ^ 令和元年度 月別契約情報/随意契約(基準以上)防衛装備庁 2020年1月30日契約
  26. ^ 試験用9mm普通弾(MPX用)公告第輸-261号 令和元年11月27日
  27. ^ 徽章|階級章等アクセサリー|海自のファッション - 海上自衛隊八戸航空基地
  28. ^ 伊藤祐靖 「緊迫怒涛のイージス艦出撃」「正論」2012年4月号、産経新聞、2012年

関連項目

外部リンク