しし座V(Leo V Dwarf Galaxy[3])は、しし座にある矮小楕円体銀河である。2007年にスローン・デジタル・スカイ・サーベイのデータから発見された[2]。太陽から約18万パーセクに位置し、約173km/sの速度で遠ざかっている[2]。楕円形で、光度が半分になる半径は約130パーセクである[1][note 1]。
しし座Vは、銀河系の伴銀河で最も小さく暗いものの1つであり、光度は太陽光度の約1万倍(絶対等級は約-5.2 ± 0.4[note 1])で、典型的な球状星団よりもかなり暗い[1]。しかし、質量は約33万太陽質量であり、この銀河の質量光度比は約75となる。比較的高い質量光度比は、しし座Vが暗黒物質に占められていることを意味する[4]。しし座Vの恒星には、120億歳以上の古いものが多い[2]。これらの恒星の金属量は、[Fe/H] ≈ -2.0 ± 0.2と低く、重元素の量が少なくとも太陽の100分の1以下であることを示している[4]。
しし座Vは、同じく銀河系の伴銀河であるしし座IVからわずか3°しか離れていない。後者は、前者よりも2万パーセク程度太陽に近い。これらの2つの銀河は、恒星のブリッジで繋がっており[1]、恐らく互いに物理的な影響を及ぼしあっていると考えられている[2]。
脚注
- ^ a b 別の文献では、絶対等級は-4.3、半径は40パーセクである[2]。
出典
- ^ a b c d e f de Jong, Jelte T. A.; Martin, Nicolas F.; Rix, Hans-Walter; Smith, Kester W.; Jin, Shoko; Macciò, Andrea V. (2010). “THE ENIGMATIC PAIR OF DWARF GALAXIES LEO IV AND LEO V: COINCIDENCE OR COMMON ORIGIN?”. The Astrophysical Journal 710 (2): 1664–1671. doi:10.1088/0004-637X/710/2/1664. ISSN 0004-637X.
- ^ a b c d e f g Belokurov, V.; Walker, M. G.; Evans, N. W. et al. (2008). “Leo V: A companion of a companion of the Milky Way galaxy”. The Astrophysical Journal 686 (2): L83-L86. arXiv:0807.2831. Bibcode: 2008ApJ...686L..83B. doi:10.1086/592962.
- ^ a b c d “SIMBAD Astronomical Database”. Results for Leo V Dwarf Spheroidal. 2010年2月4日閲覧。
- ^ a b Walker, M. G.; Belokurov, V.; Evans, N. W. et al. (2009). “Leo V: Spectroscopy of a Distant and Disturbed Satellite”. The Astrophysical Journal 694 (2): L144-147. arXiv:0902.3003. Bibcode: 2009ApJ...694L.144W. doi:10.1088/0004-637X/694/2/L144.